時が来た

　　時が来た。そのときがやってきてしまった。もう僕は逝かなければならない。遠い国に。
日本とも、アメリカとも、ドイツとも、勿論ブラジルや南アフリカ共和国とも遠い、誰も知らない遠い国へ。
間もなく出発する。その場所へ。
しかし僕は突然大きな音に起こされた。聞き覚えのある声が聞こえる。
ん？何か水が降ってきた。ふっと目を開くと、見慣れた顔の少女が僕の目の前で泣いていた。
はてこれは一体全体どういうことなんだろう。
そうだ、何もかもが思い出された。すべては邪悪な暴君に支配された、この国を救うために・・・
そして、時が来た。だから今僕はここにいる。
不気味に聳え立つ城の中に。そのときがやってきたのだから。
そしてこの少女の名前は花子。彼女は僕の大切なパートナーだ。
花子は僕がまだ生きているのに気がついてほっとしたようだった。
　時は実に20XX年。ある科学者が、ここではあえて言う必要もないが、ある方法で恐竜を復活させることに成功した。
しかしこれが人類史上最悪の事態を招くのだった。
始めっからそうなると思っていた、僕のおじいちゃんは。僕のおじいちゃんは一種の超能力者だった。
数年前にそのおじいちゃんを亡くしてしまったけど、世界でもまれな、超能力者だった。
だから、僕がこんなことをやらなくてはならなくなったんだ。
そうそう、名乗り忘れていたけど、僕の名前は司山憲洋（つかさやまのりひろ）、11歳だ。ちなみに花子は9歳。
それと花子はお世辞にも可愛いとはいえない。
結局、この国はその科学者のせいで、恐竜にのっとられてしまった。
何？殺せばいい？そんなことは出来ない。
なぜなら恐竜愛護団体とか何とか言う、名前だけで実際は宗教団体っぽい組織がそれを阻止するからだ。
で、結局政府は、祖父が超一流の超能力者である僕、それと魔力とか何とか言う力を持っている花子、僕ら2人に助けを求めた。
え？どうして僕らの親に助けを求めなかったかって？それは時が来たら話すよ。そのときがやってきてしまったら。
僕がこれに反対しなかったのはもう一つ理由があるからなんだけど、今あえて話す必要はない。
思い出したくもない。きっと、時が来たら話すことにするよ。もしそのときがやってきてしまったならば。
　「グヴヴヴ〜」そんな声を聞いて、僕は飛び上がった。
本能的に。怖かったんだ。あいつのせいで、時が来るのが、そのときが来てしまうのが、早まろうとしてたのだから。
目の前にはディノニクスがいた。僕は与えられたピストルで奴を撃とうとした。
こいつらのせいで、僕の大事なたった一人のお母さんを・・・!!
感情が高ぶって、うまく照準を合わせられない。
どんどん奴が攻め寄ってくる。どうしよう、今度こそその時が来るかもしれない。
もう僕は我武者羅に撃った。その時だった。後ろからいやな気配を感じたのは!!
しまった!僕は見事に奴のわなにはまってしまった。後ろから奴の仲間が飛び掛ってきた。
もうだめだ、勝てないっ。しかしその時、横から銃声が聞こえた。見事に奴らに命中した。
花子が麻酔銃でやってくれたんだ。サンキュー。
僕は気を取り直して、最後の一匹を麻酔銃で自分の手で撃った。
そうさ、僕らはこんなところで負けていてはならない。
こんなところでその時が来てもらっちゃ困るんだ。この地球を再び人間の手に取り戻すために。
さあ、僕らはまだ城の前に立っているだけだ。
この、恐竜のスケールにあわせた、超巨大な城をこれから攻略しなければならない。
この国に、いや人間社会に再び希望を取り戻すために!!
・・・とは言ったものの、こんな巨大な城壁、登ることなんか出来ない。
その時花子が「飛んで上がればいいんだよ。」
と言った。しかし上空にはプテラノドンが常に旋回している。飛んで言ったとしてもすぐに見つかってしまう。
しかし花子は僕の考えを読み取ったか、「それならこれを使えばいいと思うよ。」
かばんの中からへんな網を1枚取り出した。
「何だ、それは？」と、僕が聞くと、待ってましたとばかりに話し始めた。
「これは、数年前に死んじゃったおじいちゃんが私にくれた大切な網。
おじいちゃんは世界でもごくまれな超能力者だったんだって。
この網にかぶると、かぶったものの姿が見えなくなるんだよ。
そういえば、おじいちゃん、私によく花子には昔2歳離れたお兄ちゃんが居たんだよって言ってたっけ。」
不思議なこともあるもんだな、僕も花子もおじいちゃんを数年前になくしていて、しかも両方とも超能力者。
確かに、僕にも2歳はなれた妹がいたような気がしないでもないな。
それにしてもさっきから助けてもらってばかりで、本当にかたじけない。
窓が開いている。あそこから入ろう。
そういえば、おじいちゃん、僕になんかくれてたかな？
かばんの中をあさってみた。なんと、花子が持っていたのと全く同じものが入っているではないか!
「わぁー、それ、私が持ってるのとおんなじだぁー。不思議なことがあるんだね。」
本当に不思議だなぁ。でも、僕のお母さんはついこの前に死んじゃったけど、
花子のお母さんは今も元気に生きている。
後ろから何者かの気配がした。と同時に花子の叫び声が聞こえた。
「きゃあ、憲洋君、助けてー!」
「花子ちゃん!!」
なんと、体調6メートルはあるかと思われる、ディロフォサウルスに連れ去られてしまった。
どうしよう。その時又、後ろから声がした。
しかも、恐竜のような声ではなく、そんな流暢ではないけども人間の言葉だった。
「おいボウズ、仲間が連れ去られたらお前は何もできないようだな。どれ、オレ様が手助けしてやろうか。
オレ様は恐竜だが、こんな胡散臭い城の執事なんてこれ以上やりたくねえ。
人間や他の動物と仲良く暮らした方がいいにちげえねえ。
近頃はオレ様たち恐竜が大気汚染を始めている。このままじゃあ、やがて滅びる。」
そう話したのは、ヴェロキラプトルのサムだった。
ヴェロキラプトルは一見、先ほどのディノニクスによく似ている。
こうして、ヴェロキラプトルのサムが仲間になった。
「謀反者!!」
後ろから聞こえてきた。どうやらサムを追いかけてきたらしい。
ガリミムスの群れが襲ってきた。その時、おじいちゃんの形見である短剣が急に大きくなった。
僕はその剣でガリミムスに挑んだ。
そしてその剣を振るとあろうことか、皆、粉々に砕け散った。
沢山の生命の糸が僕の手によって、すべて途絶えてしまった。
あまりいい思いじゃなかったんだけど・・・振っただけで、あんなにむごい様に。
おじいちゃんはやっぱり只者じゃなかったんだ。
すごいよ、おじいちゃん。おじいちゃんは、超能力者どころか、もう魔術師っていえるくらいすごいよ。
そして僕らは花子を探すために、城の中を探した。
僕は左手に麻酔銃、右手に短剣を持っていた。
実は、マシンガンも持っていたんだけど、非常用ということになっていて、さっきのを見て余計使う気がなくなった。
僕らは次から次へと襲ってくる恐竜たちをやっつけるので精一杯だった。
なかなか前に進めない。ふと横に目をやると、美しい女性の銅像が立っていた。
でも不思議だなあ。恐竜の城に人間の銅像があるなんて。しかもこの銅像、泣いている。まるで生きているみたいだ。
気持ち悪かった。でも僕は神にもすがる思いでこの像の涙をぬぐった。
たちまち、その銅像はしゃべりだした。
「ありがとう。私の名前は伊吹。
私はあなたたちよりも前にこの城を陥落させるためにやってきたの。
でも彼らは想像以上に強かった。そして私が倒された。気がつくとこんな状態になっていたの。
それで私は悲しくてここでなき続けていたわ。
でも、あなたが優しい心の持ち主だっていうことを知ってほっとしたわ。
私にはもうすぐその時が来る。だから私の大切なこの指輪をあなたにあげる。
きっと何かに役に立つはずよ。
彼らは強いわ。でもあなたならきっと勝てるから!」
そういって消えていった。なんだか、悲しかった。
僕は彼女がくれた真実の指輪を中指に付けた。青く光っていた。
その後僕の心の中に彼女が話しかけてきた。
「私と一緒に秀長伯父さんがいたわ。伯父さんもきっと城のどこかにいるはずよ。」
サムが僕に言った。
「ここは恐竜屋敷だが、恐竜は人間と違ってほとんどすべての奴らが何らかの魔術を使うのさ。注意した方が良いぜ。」
その後しばらく恐竜を倒すと、恐竜たちはそれ以降1階に姿を現さなくなった。
フロアを一周したけれど、階段すら見つからない。
花子が餌食になっていなければいいんだけど・・・。
僕はサムに聞いてみた。
「オレ様は1階専属だったから他の階への抜け道なんかしらねえ。
おっと、そうだ思い出した。確かどこかの絵の近くにスイッチがあったはずだ。」
僕はサムにまたがって、1階のすべての絵の裏を見て回った。
けれども、スイッチは全く見つからない。
こうしている間にも花子が痛めつけられていると思うと、我慢ならない。
最後の1枚を見た。あったのは鏡だった。その時気がついた。
鏡の反対側の1部が他の場所とかすかに色が違うことに。
僕はそこに近づいた。しかし何も起こらない。
当然のことだ。だから僕はそこに触れてみた。
べリッとめくってみると、スイッチがでてきた。
僕はそれを押してみた。しかし何も起こらない。どういうことだ?
僕はもう1度1回を1周してみた。やっぱりどこにも変哲はない。
仕方がないからもう1度先ほどの鏡がある絵をめくってみた。
すると、驚いたことに、鏡の角度が変わっていた。
そして鏡の向いている方向に目をやると、床に取っ手が着いていた。
僕はそれを開けようとがんばったんだけど、びくともしない。
「ボウズ、力がねえなあ。どれ、オレ様が開けてやる。よっこらしょっと。」
サムはこの床をいとも簡単に開けた。
僕は自分が力不足だということを知ってちょっぴりショックを受けた。
階段を下りる、と入ったものの、この城は恐竜サイズ。
人間の子どもの僕にとって1段1段の段差があまりにも大きかった。
だから僕はサムにまたがって進んだ。
そして1階の下を潜り抜けるような形で2階へ上がった。
つまりいったん下に下りて、そこから1階の下を通って、後に1階を突き抜けて2階へ行くということ。
　目の前で、花子がディロフォサウルスに痛めつけられているのが目に飛び込んできた。
僕はあわてて麻酔銃で奴らを撃った。しかし、感情が高ぶってうまく当たらない。
その時、あることを思い出した。
阪田元陸軍長官から借りた、恐竜をロックオンすることが出来る、ハイテクなレーザーがあったことを。
その名も、ダイナソー倒しちゃいまちゅわはいてくれえざあ阪田バージョン。
それで、奴らを撃った、皆倒れた。
そして僕は花子の近くへ駆け寄った。
すると花子は僕に耳にたこが出来るほど感謝してくれた。人間、いつ何時でも感謝の気持ちを忘れてはならないとつくづく思った。
そして花子は僕に抱きついた。僕は自然と顔が赤くなってくるのが分かった。
いつしか僕らは共に愛情が芽生えるのを悟った。
その時花子はあっと叫んだ。
僕は意識がすぅっと遠のいていくような感じがした。
　ふっと、目が覚めた。
僕は布団の中にいた。いつもと変わらぬ朝。
お母さんの声が聞こえる。「憲洋、遅刻するわよ、早く起きなさい。」
平和だ。けれど何か突っかかっている気がする。今日の夢はなんかすごい夢だった。
でも、それがどんな夢だったか思い出せない。
そして僕には妹がいる。果て、しかし妹の名前はなんだったけかな？
どうしたんだろう、アルツハイマーかなぁ。
僕は仕方なく妹に名前を聞いた。
「しっかりして、憲洋君!」
そう言った。えっ、と思った。何が？
全く、ふざけた妹だ。兄貴相手に憲洋君なんて。お兄様といえよぉ。そしてまた、
「憲洋君、しっかりして!｣
　気がついた。あの、平和な世界は夢だったんだ。
しかしどうしていきなり倒れたんだろう。
サムによると、後ろから球が飛んできたそうだ。そして僕の後頭部に直撃したようだ。
しかしこの2階のフロアはやけに天井が低い。
小さい恐竜用に造ってあるのかもしれない。
そして突然、花子がマシンガンでサムを撃ち殺した。
「花子、なんてことをするんだ!」
すると、「もうこんな面倒なことしたくないよ、いっそのこと恐竜に支配されてしまえば良いんじゃない?」
なんてことを言うんだ、いったい何があったっていうんだ。どうして突然そんなことを言い出したんだ?
その時、伊吹からもらった真実の指輪が激しく赤色に点滅した。
これはいったいどういうことを示しているんだろう。真実の指輪、真実の指輪、真実の・・・
「そうか、そういうことだったのか!今僕の目の前にいる花子は真実ではなく偽り、つまり偽者なんだ!」
すると花子は変形してコエルルスになった。もう僕は怒りで頭が爆発しそうだった。
「花子ちゃんを、花子ちゃんを、どこへやった!?サムを、サムを、どうしてくれるんだよぉぉぉぉぉっ!」
その時僕の体の内側から、いまだかつて感じたことのないような力が沸いてでてきた。
気がつくと僕は長い杖を持っていた。先端にはよくアニメで出てくるような物理的にありえない形の三日月がついている。
要するに、こういう「つ」みたいな形の、先端がもっと延びている形だ。
そしてそれを振り回すとなにやら魔法っぽいものが使えた。
その杖からでたへんな物質はコエルルスに直撃した。そしてコエルルスは消えた。
そしてこの杖は急に縮こまってなくなってしまった。もう一度同じことをやろうと試してみたけれど、もう出来なかった。
僕は花子を探すために歩き続けた。
2階のフロアは1階に比べて広く、いくつも部屋があって迷いそうだ。
そのうちある部屋に入ってみた。そのとたん、ドアに鍵がかかってしまって出られなくなった。
薄暗い部屋の中で、僕は泣きそうになった。いや、すでに泣いていた。怖かった。
部屋は狭い。窓も何もない部屋だ。あるのは、鏡だけ。この城はやけに鏡を使ったトリックがお好きなようだ。
そう思って、鏡をのぞいてみた。するとあろうことか、肉眼では見えない隠されたスイッチを発見した。
ぽちっと、押してみた。すると僕の右側にある壁が動き出した。
部屋は元の2倍程度の大きさになった。
けれど、新しく出てきたのは排水溝らしきものと、危険、と書かれたポスターだけだった。
よくゲームでよくあるやつかな、と思ってポスターをはがしてみた。
案の定、スイッチがでてきた。ぽちっと、押してみた。
すると排水溝が開いた。その中から、無数の恐竜のお化けが出てきた。
僕は怖くてもう、腰が抜ける寸前だった。
けれど、花子はもっとひどい目にあってるのかもしれないと思うと、こんなところでくじけてはならないと思った。
なんと言っても、この城は5階建てなのだから。まだ2階だ。まだ道は長い。
お化けが襲ってきた。僕は逃げる場所がないので排水溝らしきところに逃げ込んだ。
そこは1本の廊下のようだった。奥へ行ってみると、階段があった。とりあえず階段を登ってみた。
そこで拘束された花子を目撃した。けれど、そこへいくには鍵が必要みたいだ。
畜生、畜生。
もう1本階段があった。そっちの方は下へ下りる階段だった。
それにしてもこの階は小さい恐竜用に作られているからか、段差がかなり小さいのでとても歩きづらい。
そこには何人もの像がたっていた。みんなおっさんばっかりだ。胡散臭い。
ふと台座に目を向けると、それぞれの名前が書いてあった。
そこで、伊吹が言っていた秀長小父さんを探すことにした。あった。伯父さんというよりはジジイに近いかな。あはは。
適当に声をかけてみた。けれど動く様子は全くない。途方に明け暮れて仕方なしに秀長小父さんを蹴り飛ばした。
そのとき、「真……輪、私…り手…中ゆ…さし…」
と、小父さんがしゃべった。何が言いたかったのか、よく解らない。
とりあえず、真実の指輪がどうたらこうたらいっているのはわかった。
ので、順番に指に刺していってみた。すると案の定、復活した。
というわけで、早速小父さんと一緒に花子のいる部屋へ行った。
しかし、やはり鍵がかかっている。「鍵なら私が持っている。」小父さんが言った。
そして入った。花子はすでに疲労困憊でそのときが来そうだった。
僕はあわてて花子を助けた。けれど、その時周りからいっせいにコンプソグナトゥスが襲ってきた。
絶体絶命の大ピンチだ。けれどもそんな時、小父さんが変な形の剣を取り出して、コンピ達を倒していった。
しかし、コンピの反撃も待っていた。そこで小父さんは僕に指輪を返し、先に行くよう言った。
「私はもう72年も生きたからもうそのときが来ても良いんだ。」
そういって僕らを先に進めるよう言った。僕は戸惑ったけれど、花子がやばいということもあって、小父さんに従った。
さようなら、秀長小父さん。
無事もとの場所に抜け出すことが出来た。花子は意識を取り戻しつつあった。
そこで僕は、花子に栄養ドリンクを飲ませた。
そして花子がにわかに元気になった頃、花子の魔力を持ってして、3階への階段を見つけた。
やっぱり常に魔法が使えるというのは便利だなあ。
しかしながらなかなか3階に着かない。階段を降りたり登ったり。ようやく3階へついた。2階と違ってとても広々とした空間だ。
　大型の恐竜のいるフロアに違いない。それにしても疲れた。時計を見るともう23時を回っていた。
後ろから、声が聞こえた。誰だろうと思って振り向くと。灰色の柱が四本あった。
僕らは、その迫力で、腰が抜けそうになった。いつ踏み潰されてもおかしくないくらいでかい。
「あなたがたが、この城を侵略しようとしている人たちの最後の切り札なんですね。
いいえ、隠しても無駄です。私にはあなたや国の政府の連中の心が読み取れるんです。
私は実は恐竜が支配するの一番良い方法とは思えないのです。
私どもを復活させていただいた智樹さんや、それ以外の人間とも仲良くすべきではないかと思うのです。
我々はどうしてここにいるのか、どうして我々は生きているのか、そういうことを含めると、
一種の動物、あるいは一つのグループが他を支配するなんてことはあってはならない。
自然界のバランスが保たれているのは食物連鎖の図で一番上の三角がもっとも小さい図。
しかし、いま我々はこの三角の頂点に立っているが、その三角はどんどん大きくなる一方なのです。
自然界のバランスは崩れてはならない。
暴君マイケルはそんなこと考えていません。いつ再びこの地球に最悪の出来事が送るかなんて誰もわかりません。
だから私はあなたたちに協力しましょう。他にも4,5階に2人どこかにいるはずです。
私は、生命を感じ取ることも出来る。その人が逝けば、私もそれを感じるのです。
そして、今は二人とも生きています。この階を上がって、相手を倒すよりも他の二人を探すほうが先決でしょう。
今日はもう遅い。私のそばでゆっくりとお休みなさい。」
僕らは、とりあえずこの恐竜、ブラキオサウルスの言うように、その晩はぐっすりと眠った。
「もう、朝ですよ。」
そういう声が聞こえた。僕は目を覚ました。時計を見て驚いた。もうすでに11時だったのだから。
花子はまだ寝ている。起きろよぉ。
僕らは花子を起こすのに実に30分もかかってしまった。
それにしても不思議だなあ、3階は、ありえないほど広い。
そこで、僕はブラキオサウルスに聞いてみた。どうしてここがこんなにまでも広いのかと。
「それはこの階層の空気が圧縮されているからです。
これはこの階層の主、セイスモサウルスの力なのです。」
なるほど、要するに僕らは今圧縮されているのか。
でもこの城のつくりは不思議だ。
1階はドーナツみたいになってて、2階は小さな部屋がいっぱい、そしてこの3階は何もないだだっ広い場所。
そんなことを考えていてふと前に目を向けると、目の前に、またもや大きな恐竜が人知れず出現していたのだ。
その恐竜はブラキオサウルスに向かってこんなことを話していた。
「おい、ジョン、まさかお前、あのくずに、あぁ、いや、その、人間に、ほら、そこにいる、やつらだよ、まさかとは思うが、
手を貸す、いや、そんなことは、おい、しないよな、ようするに、おれたちを、う、裏切るつもりじゃ、な、ないだろうな？」
「そんなことを決めるのは私の勝手だ、ジム。私が何をしようと勝手だ。好きにさせてくれ。」
そんな会話を聞いて、僕は、このブラキオサウルスがジョンという名前だということを悟った。
そして、このジムとかいう恐竜の特徴からして、あの恐竜はブロントサウルス、あぁ、アパトサウルスだ。
しばらくたって、ジムはジョンに攻撃を仕掛けた。
僕は知らず知らすのうちにあの『杖』をつかっていた。
ジムは吹き飛んだ。ずっと向こうの果ての果てにある壁に、ジムは激突した。そして杖は消えていた。
その時、花子がジョンに聞いた。
「ねぇ、ジョンさん、実は2階に恐竜の餌食になった小父さんがいるんだけどその人はまだ生きてる？」
秀長さんのことだ。あの人はもういないだろうと僕は覚悟していた。ジョンの回答を待った。
その人は、まだ生きておられますよ。瓦礫の下で。」
なんてことだ、秀長さんはまだ生きている。しかも瓦礫の下で!
僕らは、いったん2階へ引き返した。
そして、僕らが秀長小父さんと分かれた部屋へ向かった。
　僕らは2階は2度目なので簡単に小父さんと別れた場所を見つけた。
しかしなんとその場所が崩壊していた。
足元には無数のコンピの死骸があった。しかも白骨化している。恐竜は、こんなにも白骨化するのが早いのだろうか。
でも、こんなに沢山の瓦礫があったのではその中から人を探し出すなんて不可能だ。
そんな時、花子が素晴らしいものを出してきた。
それは中田元陸軍副長官が花子に手渡した、余計なものどっかへいっちゃえはいてくれえざあ中田バージョンという名前のマシーンだ。
それで、瓦礫を本当に、どっかへ行かせた。すると、秀長小父さんが倒れていた。
僕らは秀長小父さんを担いで3階へ戻った。
　3階に上がると、ジョンと、これまたでっかい、しかも首と尻尾が胴体の2倍ほどある恐竜が戦っていた。
そうか、こいつがセイスモサウルスか。なるほど確かにこの階を制すもんサウルス。なんちって。
その時グラッとゆれが来た。地震だ。どうしてこんなときに地震なんか来るんだ。
いや違う、これはこの城の一部が崩れてるんだ。さっきのあの場所か。
そして運のいいことにセイスモサウルスは3階へまっさかさま。ジョンがセイスモサウルスにとどめを刺そうとした。
けれどそんなことをして、セイスモサウルスが死んだら、この階層も崩壊する。
だから僕はジョンにやめるよう言った。
しかしながら、4階へ上がる階段がない。どういうことだろう。
僕らはブラキオサウルスに乗った。この3階をとりあえず一周してみたけれど何もない。
その時仰向けに寝かされていた秀長小父さんが目を覚ました。よかった。
そして、「あそこに穴が。」
そう言った。なに、確かに穴が開いている。なるほど、あれが4階への入り口か。
僕らはジョンの頭の上に載って登った。その時、小父さんは大切なものを落としていた。
　4階への階段はずっと直線だ。とりあえず、3階は攻略が結構早かった。2階は大変だったけど。
ジョンのおかげも少なからずあるな。
もしあそこで、ジョンがいなかったら僕らはアパトサウルスやセイスモサウルスと闘わなければならなかったかもしれない。
いや、それ以前にサムがいなかったら、花子はもういないだろうし、僕はまだ1階にいたかもしれない。
けれど、父さんが、いや、なんでもない。
あの科学者が恐竜なんて生み出さなければ、僕らはこんなことをする必要もなかった。
それにお母さんが死ぬこともなかった。
　4階だ。なんということだ、城の中に池がある。しかも僕らが出てきたのはその池のど真ん中の島の上。
そんな時、向こうの方から女の子の叫び声がした。あの声の主が、ジョンの言っていた仲間なのだろうか。
僕は水着に着替えて、それとダイナソー倒しちゃいまちゅわはいてくれえざあ阪田バージョンももって声のするほうへ向かった。
勿論泳いでいかなければならないけれど。だから密かに水着に着替えたたんだ。結構恥ずかしいお年頃。なんちって。
次から次へと襲ってくる恐竜、ではなく魚竜や首長竜たち。その中心となっているっぽいのがエラスモサウルスだ。
僕はやつに向かってレーザーを放った。すると、何てことだ、奴らがキレて襲ってきた。そこで僕は得意の戦法（?）、
我武者羅撃ちを開始した。気持ちがいいほど当たる。流石、はいてくれえざあだ。
岸に着いたところで、その女の子の姿が見えた。僕は固まった。彼女は見た感じ、僕と同じくらいの年だったのだ。
けれど、彼女は無数のバリオニクスに包囲されていた。その時後ろから強烈なレーザーがバリオニクスたちを襲った。
秀長さんが山田元海軍長官から託された、ダイナソー粉砕しちゃいまちゅはいてくれえざあ山田バージョンを使ったんだ。
そしてそのレーザー光線のおまけか、僕の服もついでにやってきた。早速、あるいはそそくさと服を着て、彼女を救いに行った。
「ありがとう。私は岡澤千恵（おかざわちえ）。政府から頼まれて、銅太朗さんと来たんだけど、
銅太朗さんは『女になんか興味あらへん。わいが興味をしめすんは鉄道っちゅうやつや。
３ちゃんねるというインターネット上の巨大掲示板群から情報を仕入れたんやけど、この5階からやと、
日本も見えさらに列車も何とか見えるっちゅうとったさかいに、かねてから来たかったんや。
今回の政府の申し入れを利用して撮り鉄しに来ただけや。もう4階や、後は自分ひとりでいける。
もうお前何ぞとはつきおうてられんわ。ほなわいは先行くで。
（訳：女になんか興味ない。俺が興味を示すのは鉄道だ。
３ちゃんねるというインターネット上の巨大掲示板群から情報を仕入れたのだが、この城の5階からだと、
日本も見え、さらに列車も何とか見えるということだったから、かねてから来たかった。
今回の政府の申し入れを利用にして鉄道を撮りに来ただけ。もう4階だから後は一人で行く。
もうお前何ぞとは付き合っていられない。じゃあ俺は先行くし。）』とか言って先に行ってしまって。
どうか私を仲間にさせてください。
私にも一応武器はあります。本田豊元空軍長官からダイナソーから守っちゃいまふはいてくましいん本田バージョン
を預かっていますんで。このおかげで私はこの間助かりました。」
勿論僕はすぐに仲間にした。そして僕は花子とおじさんを置いて先に隣の部屋へ行った。
千恵さんのアイデアで、というか千恵さんが前もって調べた情報によると、
4階には翼竜も生息しているそうで、さらに平和主義者であるケツァルコアトルスが生息しているそうだ。
そしてここからが千恵さんのアイデアだけれど、そのケツァルコアトルスを仲間にして、
花子や小父さんをのいる場所まで行ってそこで2人を乗せてそのまま5階へ直行するというのだ。
何でも、バルコニーがあるそうだ。知らなかった。実に用意周到だ。
隣の部屋自体がバルコニーになっていた。
そこに飛んでいるのはどうやらケツァルコアトルスだけのようだった。
その中で一匹、気の弱そうなやつがいた。あいつが例の平和主義者なのだろうか。
僕らは夜になるのを待った。なぜなら、やつらは夜は睡眠のため、このバルコニーに降りてくるのである。
夜になると早速行動を開始した。しかしそのとたん、僕が音を立ててしまった。
するとケツァルコアトルスが一斉に襲い掛かってきた。もう絶体絶命のピンチだ。
そのとき千恵さんの持っているダイナソーから守っちゃいまふはいてくましいん本田バージョンが反応した。
　ここで、豊さん、阪田一郎さん、中田四郎さん、山田宗一さんのはいてくれえざあ講座。
ダイナソー倒しちゃいまちゅわはいてくれえざあ阪田バージョン
余計なものどっかへいっちゃえはいてくれえざあ中田バージョン
ダイナソー粉砕しちゃいまちゅはいてくれえざあ山田バージョン
ダイナソーから守っちゃいまふはいてくましいん本田バージョン
これらの武器はすべてすべての鳥類、爬虫類に反応するのである。
したがってダイナソーから守っちゃいまふはいてくましいん本田バージョンがケツァルコアトルスに反応してもおかしくない。
ちなみに、すべての武器は充電式、すでに残りわずかとなっている。
　ダイナソーから守っちゃいまふはいてくましいん本田バージョンはケツァルコアトルスの動きに反応して、バリアを張った。
そして僕はその隙にダイナソー倒しちゃいまちゅわはいてくれえざあ阪田バージョンを放ち、ケツァルコアトルスを気絶させた。
その後すぐに例のケツァルコアトルスところまで行った。そして千恵さんはそいつにこう聞いた。
「もしもし、あなたは平和主義者ですか。」
するとすぐに返事が返ってきた。
「はいはい、私は平和主義者ではありませんよ。平和主義竜なのです。ちなみに私の名前はティア。御用は何かしら。」
僕はティアに仲間のことなど色々話した。そして5階に連れて行ってくれるよう頼んだ。
ティアはすぐに承諾してくれた。そして花子たちを迎えに行った。ああぁ、もう千恵さんと二人きりではなくなるな、なんて。
でも僕はどうして花子といるとあんな感情が芽生えるんだろう。恋とかそんな大人びたものじゃない。
けれど、そんなんじゃないけれど、なんとなく昔から一緒にいたような、そう家族であったような、そんな愛情。
けれど僕と花子は血液型が違う。僕はB、花子はA型。
そして僕らは花子たちを迎えに行った後、すぐに5階へと向かった。
　5階につく頃にはもう22時を回っていた。とりあえず僕らは銅太郎を探した。
すぐに見つかった。片手に一眼レフのカメラを持って爆睡している。しかも、
「ああ、わいの鉄道・・・ムニャムニャ」とか言ってるし。
僕らは銅太郎の周りで寝ることにした。勿論武器を片手に持って。
目が覚めるともう朝だった。どうやら夜には何も起こらなかったようだ。
ふと目をやると銅太郎がいない。僕らは再び、銅太郎を探すことにした。
しかしもう朝なので、恐竜たちは起きている、ということでゆっくりと気づかれないように銅太郎を探した。
抜き足差し足をして探していたが実に簡単にアロサウルスに見つかった。
アロだからといって、べつにエロいわけでもなく、またあアホなわけでもない。なんちって。なはは。
僕らは逃げ出した。しかしアロサウルスは早かった。どんどん迫ってくる。
僕らは逃げ回っているうちに、カメラで窓越しに何かを撮っている銅太郎を見つけた。
銅太郎は僕らがアロサウルスに追い回されているのにすぐ気づいた。というより気づかなければおかしい。
そしてこんなことをしゃべりだした。
「よお、お前らも政府の言いなりになってきたんかいな。わいなんか政府を利用して撮り鉄しに来ただけや。
ほんでな、これがわいの開発したスーパーマシーン、トレイン君撮りまくりはいてくれえざあ銅太郎バージョンや。
これはな、月から見てもこの5円の穴くらいの文字でもはっきりとわかるスーパー望遠レンズなんやぞ。
ほれ、その栗色のが阪急、緑のが京阪、肌色のが阪神や。どれも日本の関西地方を走る大手私鉄や。
ちなみに野球やったら阪神タイガースファンなんやで。
ん、アロサウルス？ゆうたやろ、わいが興味をしめすんは鉄道やと。
まあ、しゃあないな、ついでに撮ったろ。ほれ。もう撮ったで。ん、何ムービー？
残念やがこのカメラにはムービーの機能はついとらんのや。理由がわかったらほれ、ぶぶ漬けでもどうでっか。
なに、意味通じとらんのか。しゃあない、下の訳でもよんどってくれ。
（訳：よお、お前らも政府の言いなりになってやってきたのか。俺なんかは政府を利用して撮り鉄しに来ただけやぞ。
それで、これが俺が開発したスーパーマシーン、トレイン君撮りまくりはいてくれえざあ銅太郎バージョンだ。
これはな、月から見てもこの5円の穴くらいの文字でもはっきりとわかるスーパー望遠レンズなんだぞ。
それで、その栗色のが阪急、緑のが京阪、肌色のが阪神。どれも日本の関西地方を走る大手私鉄だ。
ちなみに俺は阪神タイガースファンなのさ。
何、アロサウルス？言っただろう、俺が興味を示すのは鉄道だけだと。
まあ、仕方ない、ついでにとってくれてやる。もう撮ったぞ。なに、ムービー？
残念ながらこのカメラにはムービーの機能はついてないのだ。理由がわかったら、もうさっさと帰りやがれ。
なに、関西弁バージョンは上にあるぞ。）」
そうこうしてるうちにアロサウルスが目の前まで迫ってきていた。もう絶体絶命のピンチだ。
その時、秀長小父さんが身代わりになるといった。
僕たちはおじさんの言うとおりにした。しばらくたって小父さんにそのときが来たのを悟った。
皆くらい表情だった。そんなとき、銅太郎がぽつりと言った。
「わいがぐずぐずしとらんかったらあのじじいはしなんかったんや。わいのせいや。」
しかし皆いまはそんな罪悪感に浸っている場合じゃないということを理解しているのでだれも反応しなかった。
唯、銅太郎と一緒に来た千恵さんだけが銅太郎を慰めていた。それにしても千恵さんと銅太郎はどういう関係があるのだろう。
しばらくして、前からスピノサウルスが襲い掛かってきた。けれど、奇襲じゃないだけましだ。
僕は再びあの杖をいつの間にか取り出して、スピノサウルスに攻撃した。
すでにすべてのはいてくれえざあは電池切れだったのだ。
スピノサウルスは木っ端微塵に吹き飛んだ。意外と弱かった。
数十年前、相当古い映画、とはいってもローマの休日ほど古いわけじゃないけど、その某映画ではとても強かった。
なにせ、あの暴君ティラノサウルスとも死闘の末勝つほどの強さがあったのだから。
しかし本物はどうだ、一瞬のうちに木っ端微塵になった。
それにしてもこの杖を使うととても眠たくなる。ただでさえ寝不足なのに。
きっと、体中のエネルギーを使って魔法でも使っているんだろう。
けれど、これで暴君マイケルと戦っているうちに寝てしまったら。
しばらく行くと大きな扉が出現した。
びくともしない大きな扉だった。その時銅太郎が馬鹿力を出して扉を粉砕した。「やったるでぇ〜。やったろう関西や。」とか言って。
中には暴君ティラノサウルス・マイケルが優雅にいすに座っていた。そして僕らがきたことに気づいて、
「もう来てしまったか、しかし前哨戦で大分疲れているだろう。後はオレ様が跡形もなく抹殺してやる。」
そしてマイケルと僕らの戦いは始まった。マイケルは牙や爪、足、尻尾意外にも生物とは思えないような攻撃を仕掛けてきた。
それは、破壊光線というか放射能光線というか。
そんなこんなで、もう僕は死に掛け寸前のところまで追い詰められた。
相手も大分弱っているだろうがそれ以上にやばかった。
と、その時、下から猛烈なひかりがマイケルに直撃した。マイケルは死んだ。
僕も気を失った。
　気がつくと僕はジョンの前にいた。何だ、今のは夢だったのか、そう思ったけれど違った。
秀長伯父さんはいないし、銅太郎や千恵さんもいる。ジョンがしゃべりだした。
「この銃を返すことで、あなたたちの素晴らしき戦友、秀長さんに敬意を表します。
実は、この銃は皆さんが4階へ上がる際に秀長さんが落としていったものなのです。
それはどうやら放射能光線銃だったのです。
私はこれを使うかどうか迷いましたが、あなたたちの命の危険を感じ取って暴君マイケルを倒そうと決心したのです。
さて、あなたたちはもうここにいるべき人ではありません。
もうこれで、恐竜愛護団体もなくなり、そして、憲洋君、恐竜に殺されたあなたのお母さん、治子さんの怨念を晴らすことも出来た。
その上お父さんもきっと助かるでしょう。
さあ、ジムのテレポートで政府の前に堂々と行ってらっしゃい。」
　僕は再び意識を失った。気がついたのは国民の皆に歓迎されているところだった。
ぼくらは政府の役人からも感謝され、色々な待遇を受けた。そして、刑務所にいる僕のお父さんも無罪放免された。
僕のお父さんの名前は司山智樹。私立司山科学研究所に勤めていた。
気づいた人もいると思うけど、こんな騒ぎを引き起こしたのは僕のお父さんだったんだ。
そしてお父さんは僕と花子が兄弟だったことを教えてくれた。
花子の義理の父であり、恐竜愛護団体の教祖である前本遼介は終身刑を言い渡された。
そして僕の本当のお母さんである前本凛と、お父さんと、花子と4人で暮らすことにした。
僕は今回のことがあってから、恐竜に対する意識が変わった。
すべての恐竜が悪いんじゃない、ごく一握りの恐竜が他の恐竜までもを仲間にしているんだ。
人間だっておんなじだ。どこぞの誰とは言わないけど。
銅太郎は生まれ故郷の関西へ、千恵も生まれ故郷に帰っていった。
秀長さんと伊吹の墓は僕の家の近くに作られた。
　そろそろ時が来たみたい。最初の方に言った約束、守らなくっちゃね。
僕が政府の申し入れを承諾したのは、行ってくれたらお父さんを助けてくれるって言ったから。
勿論僕のお父さんは刑務所にいて、お母さんはもういないから。
　さあ、時が来た。新しい時代の幕開けのときが。僕らが大きくなったら、もう一度奇跡を起こさせよう。
でもそれまでしばらくの間、さよならしなきゃ。さよなら。そのときが来たら又きっと会えるよ!!
そんな時、荒城を前にふっと笑う30くらいの男がいた。（エピソード1・完）
ここから下にはこの物語を書くに当たっての設定や、説明などが記してあります。
これより下にあるものは、人物設定、重要な恐竜の設定、その他の恐竜の設定、人物詳しい設定、各恐竜の説明、各電鉄の説明、阪神タイガースの説明、あとがき、今後の予定、スタッフリスト、参考文献があります。
人物設定
司山憲洋―主人公。超能力者を祖父に、科学者を父に持つ。国からの命令で恐竜を成敗に行く。花子の実の兄。11歳。
司山智樹―憲洋、花子の父。素晴らしい頭脳をもってして恐竜を復活させる。現在は刑務所にいる。凛と離婚、のち治子と再婚。37歳。
司山治子―憲洋の義理の母。智樹の生み出した恐竜に襲われる。後死去。享年28。
前本花子―旧姓司山。超能力者を祖父に持つ。魔力を受け継ぐ。憲洋の実の妹。9歳。
前本凛　―旧姓司山。花子、憲洋の母。智樹と離婚。35歳。
前本遼介―花子の義理の父。恐竜愛護団体の教祖。43歳。
斉藤伊吹―憲洋たちよりも前に城に来る。しかし戦いに敗れ像と化する。憲洋に真実の指輪を託す。後成仏する。享年15。
斉藤秀長―伊吹の伯父。憲洋により復活する。憲洋の仲間となる。後憲洋らを助けるべく身代わりとなる。後死去。享年72。
岡澤千恵―政府が送り込んだもう一人の人物。4階で憲洋に助けられ、仲間となる。11歳。
坂銅太郎―政府が送り込んだもう一人の人物。5階で憲洋たちと仲間となる。14歳。
阪田一郎―元陸軍長官。憲洋にダイナソー倒しちゃいまちゅわはいてくれえざあ阪田バージョンを託す。56歳。
中田四郎―元陸軍副長官。花子に余計なものどっかへいっちゃえはいてくれえざあ中田バージョンを託す。54歳。
山田宗一―元海軍長官。秀長にダイナソー粉砕しちゃいまちゅはいてくれえざあ山田バージョンを託す。55歳。
本田豊　―元空軍長官。千恵にダイナソーから守っちゃいまふはいてくましいん本田バージョンを託す。58歳。
神童秀正―謎のひと。文中には名前はおろか苗字も出ていないが最後にちょっとだけ出ている。31歳？
（人物名の読み仮名・・・上から順に
つかさやまのりひろ、つかさやまともき、つかさやまはるこ、まえもとはなこ、まえもとりん、まえもとりょうすけ、さいとういぶき、さいとうひでなが、おかざわちえ、さかどうたろう、さかたいちろう、なかたしろう、やまだそういち、ほんだゆたか、しんどうひでまさ）
重要な恐竜
ヴェロキラプトル・サム―ヴェロキラプトル。城の執事。味方を裏切り憲洋の仲間となる。後コエルルスにより死去。♂、享年17。
ブラキオサウルス・ジョン―ブラキオサウルス。城3階において仲間となる。城を陥落させるのに重要な役割を担う。♂、23才。
ケツァルコアトルス・ティア―ケツァルコアトルス。城4階から5階までの移動手段となる。平和主義竜。仲間の目を盗み行動。♀、32歳。
ティラノサウルス・マイケル―ティラノサウルス。城の暴君。支配者。人間を撲滅する計画を立てる。♂、39才。
その他の恐竜
門で出現する恐竜―ディノニクス、プテラノドン
1階で出現する恐竜―ディロフォサウルス、ヴェロキラプトル（サム）、ガリミムス
2階で出現する恐竜―ディロフォサウルス、コエルルス、コンプソグナトゥス
3階で出現する恐竜―ブラキオサウルス(ジョン)、アパトサウルス、セイスモサウルス
4階で出現する恐竜―ケツァルコアトルス（ティア）、バリオニクス、エラスモサウルス
5階で出現する恐竜―スピノサウルス、アロサウルス、ティラノサウルス
人物詳しい設定
名前―誕生日、趣味・好きなこと、血液型、就職先・学校名
憲洋―7月16日、コンピューターゲーム、B型、木幹小学校（きのみきしょうがっこう）
智樹―3月27日、DNA解析、O型、私立司山科学研究所（しりつつかさやまかがくけんきゅうしょ）
治子―9月12日、化粧、A型、専業主婦（せんぎょうしゅふ）
花子―3月26日、人を操ること、A型、桜田小学校（さくらだしょうがっこう）
凛　―12月14日、ドライブ、AB型、専業主婦（せんぎょうしゅふ）
遼介―3月5日、礼拝、B型、恐竜愛護団体（きょうりゅうあいごだんたい）
伊吹―10月10日、携帯ゲーム、B型、高月中学校（こうづきちゅうがっこう）
秀長―6月2日、将棋、O型、定年退職済（ていねんたいしょくずみ）
千恵―5月31日、トランプ、AB型、枝葉小学校（えだはしょうがっこう）
銅太郎―10月14日、撮り鉄、時刻表、A型、高杯中学校（たかつきちゅうがっこう）
一郎―1月1日、空手、A型、生活平和組合（せいかつへいわくみあい）
四郎―1月2日、書道、AB型、生活平和組合（せいかつへいわくみあい）
宗一―11月1日、柔道、B型、生活平和組合（せいかつへいわくみあい）
豊　―8月15日、剣道、O型、生活平和組合（せいかつへいわくみあい）
秀正―1月23日？、謎、A型？、無職？（むしょく？）
サム―2月13日、暴走、B型、ダイナソーキャッスル（だいなそーきゃっする）
ジョン―6月22日、相撲、O型、ダイナソーキャッスル（だいなそーきゃっする）
ティア―12月25日、空中遊泳、A型、ダイナソーキャッスル（だいなそーきゃっする）
マイケル―5月28日、人をいじめること、AB型、ダイナソーキャッスル（だいなそーきゃっする）
恐竜たちの説明
ディノニクス―細長い後足と長大な尻尾が特徴の中型肉食恐竜。後足の4本の足のうち、第2指には間接で150度以上も回転可能な鉤爪を持つ。竜盤目、獣脚亜目。体長4,0m。白亜紀前期に生息。主な食べ物は肉、主な発掘地はアメリカ。
プテラノドン―よく知られる翼竜の一つで、テラノドンとも呼ばれる。アメリカのサウスダコタ、カンザス、オレゴン各州やイギリスで発見。翼竜類。体長9,0m。白亜紀後期に生息。主な食べ物は肉。主な発掘地はアメリカ、イギリス。
ディロフォサウルス―アメリカと中国から発掘されている恐竜。鋭い歯を持ち、頭部には二つのとさか状の角を持っていたことがわかっている。竜盤目、獣脚亜目。体長6,0m。ジュラ紀前期に生息。主な食べ物は肉、主な発掘地はアメリカ、中国。
ヴェロキラプトル―鋭い歯を備えた頭部と、鉤爪を持つ3本の指を備える細長い前足が特徴の恐竜。獰猛（どうもう）な性格だったと考えられている。竜盤目、獣脚亜目。体長2,0m。白亜紀後期に生息。主な食べ物は肉、主な発掘地はモンゴル、ロシア。
ガリミムス―モンゴル南部で発掘された、背の高いダチョウ型恐竜。小さい頭部に大きな目を持ち、前足の筋肉は薄くて力はなかったとされる。竜盤目、獣脚亜目。体長3,0m。白亜紀後期に生息。主な食べ物は昆虫、植物、主な発掘地はモンゴル。
コエルルスアメリカのワイオミング州で発見された鋭い歯と長い腕を持ち、2足歩行で行動していたとされる。竜盤目、獣脚亜目。体長2,0m。ジュラ紀後期に生息。主な食べ物は肉、主な発掘地はアメリカ。
コンプソグナトゥス―ヨーロッパ中部で発見された肉食恐竜で、最も小さい肉食恐竜の一つ。鳥に似た頭部と鋭い歯を持っていた。竜盤目、獣脚亜目。体長0,7m。ジュラ紀後期に生息。主な食べ物は肉、主な発掘地はドイツ、フランス。
ブラキオサウルス―体高15メートル以上を誇る超大型恐竜。キリンのように長い首に乗った頭を持ち、鼻の穴はこぶ上の頭頂部にあった。竜盤目、竜脚系亜目。体長24,0m。ジュラ紀後期に生息。主な食べ物は植物、主な発掘地はアメリカ、アフリカ。
アパトサウルス―4足歩行の巨大恐竜。長く太い首を持つが、胴体は短め。そのため首が届かないところにある葉も尾を支えに後足で立って食べられる。竜盤目、竜脚系亜目。体長27,0m。ジュラ紀後期に生息。主な食べ物は植物、主な発掘地はアメリカ。
セイスモサウルス―音波探査(人工地震)による化石調査をしたため、“地震トカゲ”の学名を持つ恐竜。極端に長い首と尾、小さめの胴体を持つ。竜盤目、竜脚系亜目。体長40,0m。ジュラ紀後期に生息。主な食べ物は植物、主な発掘地はアメリカ。
ケツァルコアトルス―翼竜類の中では最大種で、“羽毛のある蛇神”という名を持つ。大きなくちばしには歯はなく、足には鉤爪がある。翼竜類。体長12,0m。白亜紀後期に生息。主な食べ物は肉、主な発掘地はアメリカ、イギリス。
バリオニクス―ワニのような頭部に小さなとさか状の突起を持つ恐竜。前足の親指に太い鉤爪があったことから“重い鉤爪”と名づけられた。竜盤目、獣脚亜目。体長8,0m。白亜紀前期に生息。主な食べ物は肉、魚、主な発掘地はイギリス。
エラスモサウルス首が長く、76個もの骨で構成される。そのため約15メートルの体長のうち、首の長さだけで8メートル近くになった。海生爬虫類の一種。首長竜類。体長15,0m。白亜紀前期に生息。主な食べ物は肉、魚、主な発掘地はアメリカ。
スピノサウルス―アフリカ大陸で発見された大型恐竜。背中に沿って最長1,8メートルにも及ぶとげが伸び、体温調節に役立ったと思われる帆を持つ。竜盤目、獣脚亜目。体長15,0m。白亜紀後期に生息。主な食べ物は肉、魚、主な発掘地はアフリカ。
アロサウルス―頭部に骨質のこぶがあり、目の上にとさかを持つ恐竜。がっしりとした胴体を持ち、長く太い尾でバランスを取っていたと思われる。竜盤目、獣脚亜目。体長10,0m。ジュラ紀後期に生息。主な食べ物は肉、主な発掘地はアメリカ、オーストラリア。
ティラノサウルス―“暴君トカゲ”の名に恥じない巨体と凶暴性を誇った巨大恐竜。小さいながらも強力な前足と巨体を支える頑丈な後足を持つ。竜盤目、獣脚亜目。体長12,0m。白亜紀後期に生息。主な食べ物は肉、主な発掘地はアメリカ、カナダ他。
各電鉄の説明
阪急電鉄―大阪・京都・兵庫の二府一県で営業する大手私鉄の一。梅田（大阪）・三宮（神戸）間の神戸本線、梅田・河原町（京都）間の京都本線などがある。
京阪電鉄―大阪府・京都府・滋賀県で営業する大手私鉄の一。淀屋橋・三条間の本線などがある。
阪神電鉄―大阪府と兵庫県で営業する大手私鉄の一。梅田（大阪）・元町（神戸）間の本線その他がある。
阪神タイガースの説明
プロ野球、セントラル・リーグ所属の球団。Bクラスに低迷することが多いが、歴史が古く、全国に熱狂的なファンを持つ。
あとがき
シリーズ第1弾として始まったこの物語、当サイト初のファンタジーです。
恐竜を取り扱ったものとしては第4作目となる本作では、恐竜に新しい要素を持たせてみました。
その名も、変わった力（ぇ。そして本作でも例によって恐竜を恐竜として描いておらず、各恐竜の個性も見られました。また、今までにない新しい要素をたくさん盛り込み、新鮮な感じで読んでいただけたかと思います。
しかし本作での最大の目標はクリアできませんでした。
それは、読んでいて、次が気になるような、わくわくする物語。
本シリーズではこれをテーマにやっていきたいと思います。
今後の製作予定は、
「尊い命を乗せて」主人公銅太郎、鉄道マンとなった銅太郎はある重大な事件に巻き込まれていく。
「斉藤伊吹少女の事件簿」主人公伊吹、学校で起こる怪現象を伊吹が謎を解く。
「武神」主人公神童秀正、時空のゆがみに飲み込まれた秀正たち。古代から回帰作戦。
スタッフリスト
ディレクター―貴
サブディレクター―武神
構成―貴、鳥ポケモン使い
シナリオ―貴、武神、鳥ポケモン使い
城内デザイン―貴
ネームデザイン―貴、武神、S.N、I本、息吹、M
恐竜デザイン―貴
関西弁設定―貴、武神
加筆訂正―鳥ポケモン使い、貴
デバッグプレイ―貴、武神、鳥ポケモン使い、I本
アドバイザー―鳥ポケモン使い
スペシャルサンクス―O氏、銅太郎、G団副ボス
プロデューサー―貴、武神
参考文献
電鉄紹介文
岩波書店広辞苑第五版
タイガース紹介文
マイクロソフトエンカルタ総合大百科2002
恐竜紹介文
学研原色ワイド図鑑恐竜
NTT出版ジュラシックパーク?V恐竜に会いに行こう公式ガイド
ユニバーサルスタジオジュラシックパーク?Vパンフレット