うわあああ！母さん、死ぬなよ。俺、一人ぼっちじゃないかよ。
父さんはどこかへ行ってしまったし、いとこもいないのに、どうしてくれるんだよ。
あ、あれ？だんだん俺もしんどくなってきたよ、俺も母さんと同じ新型流行性感冒症とか何とか言う病気になっちゃったのかな。俺、死ぬの怖いよ。死にたくないよ。
ああ、なんだか気持ちよくなっていく。意識が遠のいていく・・・
はあっはあっ、幼少時の頃の夢だ。思い出すだけで寒気がする。
俺はあの後、黒間先生に救われた。母さんは、間に合わなかった。
黒間先生が亡くなってからもう一周忌か。時の流れは速いものだな。俺は黒間先生のおかげで関西大阪医科大学付属月光中学校から関西大阪医科大学に入学して、黒間先生と同じ内科医になるつもりだったが、器用さが認められて外科医になることになった。
しかし手術でとんでもない過ちを犯し、医師免許を剥奪された。俺は辺境である瀬田に追われ逃げてきた。
そこで俺は一から勉強しなおし、今は天才外科医ホワイトジャックといわれるようになった。それで、関西大阪医科大学の学長が俺を連れ戻そうとしたが、俺は戻らなかった。
俺は今も瀬田で外科医院を開いている。無免許のままだが。
言い忘れた。名前は瀬田博。
そこで、俺は本当に困ってるお客しか助けないことにしている。
別に高い金を請求するわけではないが、本当に困っていてどうしても病気を治してほしいというお客だけ相手にしている。
俺はすべて金さえあればというような思いで来る様な患者は治療しない。延命することが必ずしも良いとは、少なくとも俺は思っていない。
俺の腕を信用して、お金は払えるかどうかわからないけど、それでも生き延びたいというような患者を治療する。
もし俺が無差別に治療していたら俺は休む騒ぎではなくなる。なにせ毎日毎日何十、何百というお客が尋ねてくるわけだからな。
ところでついこの前、俺の友人の家族がばたばたと死んでいく件について検証しに行ったときそこの娘さんに連続殺人の犯人と間違えられて何らかの棒で思いっきり殴られてしまった。
俺はその娘さんを許したのだが、日が過ぎても頭の痛みが治まらないので、自分で精密検査をしたところ脳に異常細胞が見られた。
そこで俺はあわてて手術したんだが、やはり自分で自分の頭を切るというのは大層痛い上に気持ち悪い。
手術は成功したのはいいんだが、どうも気分が悪い。まだ何かおかしいのだろうかと思って全身の精密検査を行ったが異常が見つからない。
これは不思議だ。仕方がないのでそのままにしている。
さてある日他のたくさんの客にまみれて1頭の牛を連れた女の子が姿を現した。年は15,6だろうか。
牛は時々痙攣している。ふむ。
俺は獣医ではないがこれは見たところによると牛海綿状脳症の恐れも否定できない。
このあたり、瀬田に獣医はいないと聞く。
多分この少女は瀬田牧場の娘さんだろう。とりあえず呼んでみた。
予想知ったとおり、瀬田牧場の娘さんだ。そこのオヤジさんが、この娘さんの13の誕生日のときにくれた牛だという。
最近痙攣が多く、心配になったので、来たと言う。お金は3000円しかないとか。
しかしそれでもここで治療しなければ娘さんに感染する可能性がある。・・・後で調べたら空気感染すること無いようだ。ははは。
俺は早速その牛の精密検査を試みた。
やはりそうか、予想通りこの牛は牛海綿状脳症であった。
娘さんにも感染している恐れがあるので精密検査を受けさせた。
しかし娘さんには感染しておらず、胸をなでおろした。
俺は早速牛に手術を施した。手術は成功だ。
あそこのオヤジさんには俺も何かと世話になっているので娘さんにはその3000円は牛のために使ってあげなさいといって返した。
骨折り損の草臥れ儲けというものだが、毎日の牛乳と時々牛肉をただでもらってるものだから、まあいいか。
するとそんなうわさをどこで聞きつけたのか、当日の間に国内全国から獣を連れた患者が現れた。
当然、俺は地元の獣医で治せといい追い返した。俺のやり方だ。
その晩、痴呆と思われるばあさんとその息子と思われる男が現れた。
来るや否やばあさんはソンゲンシソンゲンシとつぶやいているが、男は治せという。
俺は外科医だ。精神科ならこの瀬田でさえもある。そこへ行けといった。
そのほかにもまあいろんな患者が来るんだが、大抵は金任せだとか、俺が有名だからだとか、前に同じ症例の人を見てもらったことがあるらしいからとかそんなことばっかりで、まったく仕様がない。
しばらくして、俺はあることを犯し、病院を閉じて夜逃げすることとなった。
ところで俺は何かと百年以上昔の漫画の主人公に似ているといわれる。母親は小さいころに無くなり、無免許医で天才と呼ばれている外科医だからだ。
しかし、俺はそれは違うと思っている。漫画の主人公のようにがめつくもないし、あの人ほど完全な医者ではないと思っている。
私は時たま大きな失敗をするし・・・・。
ところがまた重大な治療のミ――、いやとりあえず夜逃げをしようと思っていたのだが、そんな時、2人の人間が私を訪ねてきた。
24、5くらいの男性と、15、6くらいの女の子だった。兄妹だろうか。女の子は意識を失っているようで男性におんぶされていた。
男性の名前は秀正、女の子の名前は優といった。やはり兄妹のようだ。
秀正さんは妹の体がおかしい、どうか助けてやってくれ、と言ってふさぎ込んだ。
私は、あまり思い出したくは無いが、先ほど肺癌の方の治療をミスで亡くしてしまった。そのため治療をする気にはなれなかったが、私を頼ってくれている人がいるからには治療を始めないといけない。
俺はとりあえず秀正さんに今現在優さんがどのような状態であるのかを聞くことにした。
聞いてみると、症状は血尿が出たり、痛みが出たり、お腹の腫れなどがあるということだ。
何かしらとてもいやな予感がする。しきりにする。
早速、この病気を特定することが出来た。もちろん、どこが悪いのかさえも。
やはり、私の考えたとおり、優さんの病気は悪性腫瘍だった。病名、腎臓癌。
私は悪夢を見てるのかとさえも思った。この病名を見た瞬間、血の気が引いていくのが自分でもわかった。
頭の中に過去のことが思い出される。
関西大阪医科大学、手術室。
「この患者は乳癌のようだ。瀬田君、君の腕の見せ所だよ。」
数時間後。私は手術に失敗した。それもとても馬鹿なミスで。
乳腺腫瘤摘出において、私は深くメスを入れてしまい、心臓にまで到達、亡くならせた。
自分でもこんなに深く入れてはならないとわかっていたのに、我を失ったかのように、気がついたら刺していた。
このあと、大学といろいろと口論をした末、私は大学に追放された。
瀬田外科医院、手術室。
人生で二度目の癌手術。これもまた、失敗したのであった。
原因は、手術の途中に俺がなぜか気絶してしまってメスを間違った場所に刺してしまったからだ。
私は、このことで夜逃げをすることに決めた。
瀬田外科医院、秀正の前。
妹さんの病名は、腎臓癌です。秀正にそう伝えた。
俺は手術室に向かった。
手術開始。俺は優さんの腎臓付近を切り、腎臓にメスを入れようとした。
しかし、やはり俺は気がつけば手術に失敗していた。優さんはすでに息を引き取っていた。
俺は発狂しそうになったが、秀正さんにそれを伝えた。
それとほぼ同時に二人の子供が俺を訪ねてきた。
俺はその子達を帰そうと考えたが、なぜかそれができなかった。
仕方なしに、医院へ入れた。兄妹らしい。
その子達が持っていたものは、その子達が言うには真実の指輪というものらしい。
兄の憲洋君が言うには、この指輪は伊吹という女の子の形見であるらしい。
それで、この真実の指輪を使って死者蘇生を出来ないかと聞いてきた。
・・・・。伊吹？もしかして、私の頭をぶった、あの伊吹ちゃん！？だとしたら、なぜなくなったのだ？
憲洋君らにさらに詳しく聞いてみた。一部始終を聞いて俺は驚いたが、死者蘇生は無理だというものだ。
そのとき、先ほどの秀正さんがこちらのほうへやってきて、妹の癌ではないほうの腎臓と、他の臓器は無事のはずだ、心臓ももしかしたら蘇生するかもしれない。そして、その妹の無事な臓器を使ってほしい、と言った。
しかし、俺は先ほど手術に失敗したのもあって、手術をしたくないと言った。今までの失敗が一気にフラッシュバックした。俺は発狂寸前までいった。
そのとき、秀正さんと目が合った瞬間、俺は気絶した。
――お前の母は新型流行性感冒症で亡くなったのではない。肺癌で亡くなったのだ。そしてお前は今、病を持っている。脳腫瘍をな――
気がつくと俺は医院のベッドにいた。秀正さんや他の2人が心配そうに私を見ていた。俺には秀正さんのまなざしが少々不気味に感じた。
なぜだかすっきりして、手術を始めた。
手術の仕方はあの漫画のピノ○というこの作り方に似ている。
手術は順調に進んだ。最後に真実の指輪を近づけると、真実の指輪は宙に浮いて力強く、青く、光り輝いた。
その光は作成中の伊吹ちゃんをも包み込んだ。
指輪が光り終えると、そこには本物の伊吹ちゃんがいた。
「あれ？どうして私、こんなところにいるの？悪い恐竜らに殺されて石像になってたんじゃないの？あれ？その指輪・・・憲洋君にあげた真実の指輪？」
と、いうように伊吹ちゃんは相当混乱しているようだった。
これに関して、俺と憲洋君と妹の花子ちゃんとで詳しく説明した。
憲洋の父親が恐竜を生み出したこと、後で更正して、伊吹ちゃんの蘇生の可能性を示唆したこと。
それを聞いて2人でわざわざここまで来たこと。
その間に銅太郎というかつての仲間の運転する列車に乗ったこと。
そこで事故があったこと。真実の指輪はそこでも活躍したこと。などなど。
俺はそういう話をしている間に秀正さんと優さんの遺体がいなくなっていることに気づいた。
そして3人は俺に礼を言って俺のもとを去っていった。
俺はこれでホワイトジャックの威厳を取り戻したような気がした。
それからしばらくたって、俺は強烈な頭痛に襲われ、気を失った。
気がつくと俺は関西大阪医科大学の病室にいた。話によるとかなりすすんだ脳腫瘍だったようだ。そのうえ悪性だったらしい。
それでも、完治することが出来た。
主治医は神童秀正という名前らしい。あの兄妹の兄と同姓同名だ。
退院するとき、神童先生こうつぶやいていた。
「想定どおりにするためにはこうするしかなかったんだ・・・・」
これは手術のことではないような気がしる。しきりにする。 エピソード4・完
ここから下にはこの物語を書くに当たっての設定や、説明などが記してあります。
人物設定
瀬田博―無免許医。天才外科医ホワイトジャックと呼ばれる。実は脳腫瘍があった。44歳
黒間太郎―関西大阪医科大学の内科医。享年80。
神童秀正―謎の人。25？
神童優―秀正の妹とおもわれる。人間かどうかはわからない。享年16。
司山憲洋―伊吹復活のためにわざわざ遠くから現れた。13歳。
司山花子―憲洋の妹。超能力者を祖父に持つ。魔力を受け継ぐ。11歳。
斉藤伊吹―悪の恐竜たちに倒されたが今回博によって蘇生する。15歳。（生きていない期間を含むと17歳）
（人物名の読み仮名・・・上から順に
かいだひろし、くろまたろう、しんどうひでまさ、しんどうゆう、つかさやまのりひろ、つかさやまはなこ、さいとういぶき）
詳しい人物設定
博＿―6月4日、シュミレーションゲーム、O型、瀬田外科医院（せたげかいいん）
太郎―1月1日、編み物、O型、関西大阪医科大学（かんさいおおさかいかだいがく）
秀正―1月23日？、謎、A型？、関西大阪医科大学？（かんさいおおさかいかだいがく？）
優＿―3月21日？、謎、B型？、就学なし？
憲洋―7月16日、コンピューターゲーム、B型、木幹中学校（きのみきちゅうがっこう）
花子―3月26日、人を操ること、A型、木幹小学校（きのみきしょうがっこう）
伊吹―10月10日、携帯ゲーム、B型、高月中学校（こうづきちゅうがっこう）
病名とその簡単な説明
新型流行性感冒症：一般に言う新型インフルエンザのこと。
牛海綿状脳症：一般に狂牛病といわれる。この病気が発症した牛は、当初は痙攣を起こしたりする程度で目立った症状は現れないが、やがて音や接触に対して過敏な反応をするようになり、病状がさらに進むと運動に関連する部位も冒されて立てなくなるなどの症状を示す。
痴呆：天的な脳の器質的障害により、いったん正常に発達した知能が低下した状態をいう。医学上は痴呆と呼称するが、一般には、痴呆と、アホが同じ漢字であり、高齢者を侮辱するような表現であることから 認知症と呼称する場合が多い。
肺癌：肺に発生する悪性腫瘍。一般的な症状は、血痰の喀出、慢性的なひどい咳、喘鳴、胸の痛み、体重減少、食欲不振、息切れ。
悪性腫瘍：がん、悪性新生物とも呼ばれ、他の組織に浸潤あるいは転移し、身体の各所で増大することで生命を脅かす腫瘍。
乳癌：乳房組織に発生する癌腫である。世界中でよく見られる癌。
腎臓癌：尿をつくる 尿細管細胞 から発生する癌です。腎臓癌は、小さいうちはあまり症状がないため、 以前は早期発見が難しかった。
脳腫瘍：、脳の疾病のひとつで、頭蓋内組織に発生する新生物(腫瘍)のことを意味する。
あとがき
また、リリースが滞ってしまいました。今回は個人的には駄作のような気がして仕方がありません・・・。
なんとなく、わざわざ伊吹を生き返らすためだけに書いたような・・・。
長い間製作がとまっていたこともあって、変な部分があるかもしれませんがご了承願います・・・（笑）
長い時間使った割にはあまり完成度の高いとはいえないような気がして・・・。
そうそう、武神は内容が変更になる可能性が出てきました。
次回はついこの前最終回になった古畑任三郎のインスパイア小説でも書こうかと思っております。 2006年1月11日エグゼクティブディレクター記す。
今後の製作予定は
「武神」主人公神童秀正、時空のゆがみに飲み込まれた秀正たち。古代から回帰作戦。
「余田天四郎」主人公余田天四郎、事件を解決する。古畑任三郎のインスパイア小説。
なお今作は時代的に尊い命を乗せての後です。また代田天四郎に接続しています。
スタッフロール
ディレクター―ピロッグ
エグゼクティブディレクター―貴
構成―貴、伊吹
シナリオ―貴、伊吹
ネームデザイン―貴、武神、息吹、ピロッグ
アドバイザー―伊吹
デバッグプレイ―貴
スペシャルサンクス―伊吹
プロデューサー―伊吹
エグゼクティブプロデューサー―貴
参考文献
病気の説明
ウィキペディア百科事典
腎臓癌について皆さんに知ってもらいたいこと