開平の望楼群と村落

概要

中国広東省開平市に位置する開平の村落には、ディアオロウと呼ばれる豪奢な望楼が立ち並ぶ。中国南東部の田園地帯に立ち並ぶ中国様式とはまるで異なる望楼は、中世ヨーロッパの城、バロック風のドーム屋根、ギリシャ風の円柱と、あらゆる西洋の建築様式が交じり合った独特の建築様式となっている。これらは、アメリカ、カナダ、メキシコ、オーストラリアなど19世紀後半から20世紀初頭に発展を迎えた諸国で、苦力と呼ばれていた中国人労働者が辛く厳しい労働の末得た富を故郷に持ち帰り、彼らが家族や親族とともに暮らすための家として20世紀前半に立て続けに築かれた。もともとこの地では、盗賊から村や家族を守るために望楼を築く文化があり、その文化と中国人労働者が持ち込んだ西洋文化が交じり合い、現在見られる独特の建築様式となった。現在でも1800件を超える望楼がこの地域に残されており、そのうち20件の望楼が世界遺産に登録されている。

基本情報