南ラグーンのロックアイランド群

セブンティ（＝７０）アイランドというが、実際には40弱の大小の島が集まっているパラオの代表的なロックアイランド群。絶滅危惧種のウミガメであるタイマイの産卵場としても知られており、ケルネウィト・アイランド群国立野生生物保護区となっており、一般の上陸や付近の航行も認められていない。

かつてドイツによって人工的に掘削された船舶用水路。外洋と珊瑚の海をつなぐ魚の通り道ともなっているため、マンタが頻繁に往来することからパラオで一番のダイビングポイントとしても知られている。

ジャーマンチャネルより東方にあるオモカン島（写真右）からヨルオモカン島（写真左）に伸びる砂浜をロングビーチという。観光地化しているが、ここもウミガメの産卵地となっている。オモカン島はジャーマンチャネル方面にダイビングに向かう船が多数集まる。ヨルオモカン島はジャーマンチャネルに一番近い島で、かつての所有者の名前をつけたジャクソンアイランドや、おじさんアイランドとも呼ばれる。「おじさん」の由来は島影がビール腹のおじさんが仰向けに横たわっているかのようにみえることから。すぐ近くにオモカン島があるため上陸者は少ない。

珊瑚礁の外側はすぐ深い海へと落ち込んでいる。サンゴ礁の上に国土のほぼ全てが含まれるパラオにはこのようなドロップオフが数多くみられる。このような断崖は潮の流れに乗って深海から栄養分が湧き上がるためバラクーダやギンガメアジのような中大型魚も回遊する。写真手前のビッグドロップオフには色彩豊かな珊瑚と中小型の魚が数多く生息する。写真奥には広島カープに島名の由来があるカープアイランドがあり、ダイバーで賑わっている。島内には結晶石灰岩で作られた石貨であるストーンマネーを見ることができる。ヤップ島では今でも婚礼や不動産の売買の際に利用されている。ただしカープアイランドは世界遺産エリアに含まれておらず、ビッグドロップオフが世界遺産の登録エリアの南限で、カープアイランドを除くように世界遺産の資産が指定されている。

写真左方にあるサンゴ礁に空いた穴がブルーホールで、パラオを代表するケーブポイント。その右に広がる海がブルーコーナーで、ダイバーに人気のあるサメ、ウミガメ、メガネモチノウオなどが見られる。

隆起珊瑚礁でできた石灰質のロックアイランドには海水の侵食によって生み出された洞窟やアーチ、トンネルなどが点在している。ナチュラルアーチはコロール島からボートで5分と少しの場所にあるアーチで、アーチ直下の岩場での記念撮影の人気スポットとして知られる。

乳白色を帯びた湖面が特徴のマリンレイクの一つ。乳白色となっているのは湖底に珊瑚の欠片が砕け沈殿した白色の泥が堆積しているため。この泥は太陽の光で発行され美肌に良い成分となりホワイトクレイとしてパラオの名産となっている。

無数のクラゲが生息するマリンレイクとして知られる。海から切り離され外敵が不在のこの湖でクラゲの毒針は退化し毒性が極めて弱いクラゲが無数に存在することからシュノーケルの人気スポットとして知られる。ただし近年、観光客の増加や異常気象の影響などを受けクラゲが大幅に減少した。

パラオ本島の名前でも呼ばれるバベルダオブ島の西海岸にあるマングローブの生い茂った湿地。パラオの海が澄んでいるのはこのマングローブ林によって海水が浄化されているため。ただしこの区域は世界遺産としての登録エリアから外れている。

パラオの首都があるバベルダオブ島（写真奥）とダウンタウンのあるコロール島（写真手前）を結ぶ橋。世界遺産はこの海峡を北限としビッグドロップオフまで指定されている。ただしコロール島そのものは市街地であることから世界遺産の登録エリアから省かれている。

潮が引くと顔を出す洞窟で、太陽の光が反射し水面を青くきらめかせている。

ウミガメの一種で、絶滅危惧種（絶滅寸前）に指定されている。甲羅が美しいモザイク模様になることから、太平洋における生息地の北限である日本では古来からベッコウ細工の原料として珍重されてきた。このため乱獲の対象とされてきた歴史をもっている。回遊性のため生息数は不明であるが、上陸した産卵個体のデータなどから、他のウミガメ類に比べて個体数は極めて少ないと考えられている。

潮通しの良いサンゴ礁域に生息し、シライトイソギンチャクに共生することが知られている。

シリキルリスズメダイと見られるスズメダイ。他にもこの海域にはルリスズメダイなど多様な熱帯魚を見ることができる。

ウナギ目アナゴ科の海洋魚。警戒心が強いことで知られる。名前の由来は犬の狆から付けられた。

頭のコブ状の突起から、ナポレオンフィッシュの名で知られる。若い個体は目の後ろに黒いラインがある。通常は単独で珊瑚礁周辺に生息しているが、繁殖期になると多くの個体が一箇所に集まる。（グレート・バリア・リーフ）

ディズニー映画で一躍有名となったカクレクマノミは、その影響により乱獲が問題となった。イソギンチャクの触手には猛毒があるが、クマノミは特殊な粘膜によりイソギンチャクの猛毒の影響を受けない。その為他の魚では攻撃される為近寄れないハタゴイソギンチャクなどと共生している。イソギンチャクは、クマノミから餌のおこぼれを入手している。（沖縄県北谷町付近）

カクレクマノミと同じくディズニー映画で有名となった熱帯魚。幼魚時は珊瑚の間に群れているが、成長するにつれて岩礁域に移動する。（美ら海水族館）

黒と白のからだと長く伸びた背びれが特徴での熱帯魚。学名のZanclusには、鎌という意味があり、本種の特徴である背びれに由来する。（京都水族館）

マンタの名前で知られるオニイトマキエイ（写真は、近年近縁の別種と判明したナンヨウマンタ）。比較的穏やかな性格でダイバーにも人気がある。腹の黒い斑紋で個体識別できるが、中には殆ど真っ黒の個体もいる。（海遊館）

オコゼ科の一種。大きく長い胸ビレと背ビレを揺らして優雅にゆったりと泳ぐ。背ビレ、腹ビレ、尻ビレには毒があり危険。（名古屋港水族館）

パラオはミクロネシアの国々の中でも貧富の差が激しい国である。そのため、マングローブ林に近い場所で昔ながらの貧しい生活を送る者もいる。