エディンバラの旧市街と新市街

エディンバラ城は、キャッスル・ロックという、3億年前の火山の爆発により隆起した岩山の上に築かれている。街を見下ろすエディンバラ城は、スコットランド最高にして最強の砦とうたわれた。この城は政治的混乱と文化の移り変わりの中で、王宮、要塞、そして監獄としての役割を果たしてきた。

1753年に白の守備隊の閲兵場として造営された。門楼は1888年に城の新しい入口として建て増しされた。ファサードに取り込まれている銅像は、左が国王ロバート・ザ・ブルース、右がサー・ウィリアム・ウォレスで、1929年に設置された。1950年以降、エディンバラ・ミリタリー・タトゥーの公演がエスプラネードで開催されている。

門楼に取り付けられたスコットランド王家の紋章。二重の金の帯に囲まれた赤いライオンは、王権を表しているという。

城のメインの高所防災壁としての役割を与えるため、攻撃を受けやすい東側正面に建造された。

1715年にシェリフミュアでジャコバイトを鎮圧したアーガイル公爵2世にちなんで命名された砲台。設置されている大砲はオリジナルではなく、ロイヤルアーマリーからの貸借物。

要塞司令官の住宅として1742年に建造されたジョージア式邸宅。1860年に司令官の職が廃止された後は城内の病院に勤める看護師スターが使用していた。また、この建物は後に地理院となる団体の最初の本拠地であったと考えられている。

1840年代から、連帯のマスコット犬および将校らのペット犬を埋葬する場所として使用されてきた。中国や南アフリカのような外国まで遠征した「ドブラー」などが眠っている。

エディンバラ城における最古の建物。12世紀マーガレット王妃に捧げる建物として建造され、王室のプライベートな祈りの場として使用されてきた。

非常に簡素な外観とは対象的に見事な装飾が特徴的な内装。19世紀半ばから修復され、現在でも洗礼と婚礼の際に使用されている。

聖マーガレット（マーガレット王妃）自身がステンドグラスのテーマの一つになっている。マーガレットはスコットランドにローマ・カトリックを導入し、その功績から1250年に聖者に列せられた。礼拝堂に設置されているステンドグラスは1920年台に追加で施された。

1430年代のエディンバラ城の増築に始まり、王室の住まいとなった。スコットランドとイングランドを初めて統一したジェームズ6世（イングランド王ジェームズ1世）によって1615年から1617年に再建された。

木造天井が特徴的なこの広間は、城で儀式が挙行される際、メインの広間として使用される目的で1511年に建造された。しかし、建設の命を下したジェームズ4世は2年後のフロッデンの戦で戦死し、後の王族はエディンバラ城よりも遥かに住み心地の良い新しい宮殿であったホリールード宮殿を好んだため、元の役割で使用されることは殆どなかった。その後、兵舎や病院と姿を変え今日では武器の博物館として使われている。右上の柵のある穴は覗き穴で、国王が廷臣たちを監視するためのものであった。1984年のゴルバチョフ訪問の際にはこの穴をふさぐよう、KGBから要請された。

ロイヤルパレスに隣接しているスコットランド国立戦争記念館は元は北兵舎であった。1923年になって兵士が城を去ると、第一次世界大戦戦没者のために、1927年にスコットランド国立戦争記念館として正式にオープンした。この建物ではその後、第2次世界大戦やそれ以降の軍事行動で亡くなった人々も祈念している。

スコットランド戦争記念館に設置された礼拝堂。このスコットランド国立聖堂はやはり遺棄された兵舎を改築して1923年に創建された。

チャールズ2世の名を受け城の大規模な再要塞化が行われた17世紀に建設された。昔は桐の紋と呼ばれた。壁の両側には大砲とマスケット用のスペースが有る。

日曜と復活祭の金曜日、クリスマスを覗いた毎日午後1時に発泡される。1861年6月に最初の空砲が撃たれて以来、二つの世界大戦のとき以外中断されたことはない。現在の大砲は2001年に設置されたもの。

エディンバラ城からホリールード宮殿までの石畳の道はロイヤルマイルと呼ばれる。かつてここは両脇に人々がぎっしり暮らす庶民の通りで、住環境は決して良いとはいえず、貧困と病気があふれる地区であった。19世紀に今日のように道が整備された。

エディンバラ城からホリールード宮殿に向かってロイヤルマイルを進むと聖ジャイルズ大聖堂が見える。聖ジャイルズ大聖堂の前の石畳にはミドロジアンと呼ばれるハートのマークがあり、かつて処刑場がここにあった。エディンバラではここにつばを吐きかけると幸運を呼び込むことができると言われている。

9世紀中頃に造られた聖堂が起源とされる。12世紀前半にノルマン様式で立て直され、聖ジャイルズ大聖堂と名付けられた。現在のゴシック建築の建物は宗教改革の最中に多くの装飾が破壊された。プロテスタントの宗教改革者ジョン・ノックスはスコットランドへ帰国後、聖ジャイルズ大聖堂の牧師となり、ここを本拠地としてスコットランドにプロテスタントの輪を拡大していった。

もとは1128年に造られた聖アウグスティヌス修道会の聖堂であった。1498年に国王ジェームズ4世が聖堂の来客用施設を公式の宮殿として改築。その後イングランドの焼き討ちにあって以降は宮殿のみが再建され今に至る。

旧市街が世界遺産となっている例は数多くあるが、新市街が世界遺産となっている例は少ない。写真の構図では、旧市街の特徴的な建物であるエディンバラ城と、新市街の特徴的な建物であるスコット記念塔が見えている。

プリンシズ通り庭園はエディンバラ城の北、新市街の大通りであるプリンシズ通りに面して造営された提案。もとは新市街の住民のためだけの庭園だったが、1876年に一般公開された。

エディンバラを代表する詩人歴史小説化である、サー・ウォルター・スコットを記念して1844年に市民の要望により造られた。作家の記念碑としては世界最大を誇る。

カールトンヒルは新市街の東にある小高い丘。その名称は「森林に覆われた丘」を意味する古代ゲール語「コレ・ドゥン」に由来しているされるが、地元では寒い街を意味する「カゥ・トゥン」からだと言われている。ナショナル・モニュメントやネルソン記念塔のほかにも、旧天文台などいくつものモニュメントが建てられている。

エディンバラが北のアテネとうたわれる所以の一つであるナショナル・モニュメント。19世紀のエディンバラでは古代ギリシャの建築が持て囃された。ナポレオン戦争戦没者記念として、アテネのパルテノン神殿を模して建てられたが、資金不足のため工事が中断したまま現在に至る。

トラファルガーの海戦での勝利を記念して1815年に建てられた記念碑。

新市街の大通りであるプリンシズ通り。道沿いには近代的な店やホテルが立ち並んでいる。新市街は1767年、当時まだ無名であった23歳の建築家、ジェームズ・クレイグがこの街をゼロから創り上げた。

カールトンヒルから市街地をフォース湾方面に向かって眺めると、世界遺産フォース鉄道橋を望むことができる。