概要
ジェノヴァのレ・ストラーデ・ヌオーヴェはガリバルディ通り、バルビ通り、カイローリ通り、ロメッリーニ通り、サン・ルーカ通りなどの総称。特にガリバルディ通りは完成当初ストラーダ・ヌオーヴァと名付けられた、レ・ストラーデ・ヌオーヴェの主要な通り。レ・ストラーデ・ヌオーヴェに建ち並ぶ貴族の大邸宅パラッツォは、各国の用心を迎えるための迎賓館として、ロッリと呼ばれるリストに登録された。そもそもジェノヴァはヴェネツィア、ピサ、アマルフィと並ぶイタリアの四大海洋国家であった。このうち、アマルフィはピサに敗北、そのピサもジェノヴァとの争いで敗れ、ジェノヴァは地中海貿易で栄えた。しかし約200年にわたるヴェネツィアとの地中海の覇権争いでヴェネツィアに敗れたあとはジェノヴァの商人は地の利を活かしスペイン王室のメイン銀行を引受け金融国家として繁栄した。特に16世紀から17世紀にかけては「ジェノヴァ人の世紀」と呼ばれる。世界遺産登録されている通りや大邸宅はこの時代のものである。その後スペインの衰退とともにジェノヴァも衰退したが、現在でもジェノヴァはイタリア第一の貿易港である。基本情報
遺産種別/登録基準
文化遺産/(ii),(iv)
登録遺産位置
イタリア共和国
イグーリア州
北緯44度23分 東経8度55分
イグーリア州
北緯44度23分 東経8度55分
登録遺産面積
資産 15.777ha
緩衝地域 113ha
緩衝地域 113ha
登録年月
2006年
登録基準の具体的内容
(ii)
ストラーデ・ヌオーヴェとそれに関連する宮殿群は16～17世紀の都市計画と建築の発展に関する重要な価値観の転換を示すものである。当時の建築露文を通して、これらの例はストラーデ・ヌオーヴェとジェノヴァの後期ルネッサンス建築をヨーロッパのマニエリスムとバロック建築の発展について重要な象徴として示された。
(iv)
ジェノヴァのストラーデ・ヌオーヴェは、16～17世紀に絶頂期にあった商業都市ジェノヴァの政治と経済を表す、建築学上高い価値をもつ貴族の宮殿からなる都市計画の優れた例である。この計画は、「ジェノヴァ人の世紀」（Siglo de los Genoveses，1563-1640）を特徴づける革新的な考えを生み出した。1567年、ジェノヴァ共和国は、国賓の公式宿泊施設として優れた宮殿を選択し法律に基づいたロッリというリストを確立した。
ギャラリー
ストラーダ・ヌオーヴァ
16世紀半ば街を見下ろす高台に引かれた「新しい道」。幅7.5メートル、長さ250メートルの真っ直ぐな道は、混沌とした中世の街においては革新的な都市計画であった。現在はガリバルディ通りと名付けられている。ストラーダ・ヌオーヴァを中心に42件の大邸宅が世界遺産に登録されている。
ストラーダ・ヌオーヴァ
ストラーダ・ヌオーヴァを抜けると、フォンターネ・マローゼ広場が広がる。奥に見えているのあｈフォンターネ・マローゼ広場に面するインテリアーノ・パッラヴィチーノ邸。
ストラーダ・ヌオーヴァ
右側緑がかった建物より奥に順に、バルタザール・ロンメリーニ邸、ラザッロ・E・ジャコモ・スピノーラ邸、ジオ・バッティスタ・スピノーラ邸、トービア・パッラヴィチーニ邸、パンタレオ・スピノーラ邸。左はトゥルシ宮殿の奥にニコラシオ・ロンメリーニ邸が見える。
ラザッロ・E・ジャコモ・スピノーラ邸
1562年に建てられたが戦争などにより損壊。18世紀に現在の姿に復元された。
赤の宮殿と白の宮殿
左が赤の宮殿と呼ばれるルドルフ・フランチェスコ・ブリニョール・セール邸。右側奥にあるのが白の宮殿と呼ばれるルカ・グリマルディ邸。右側手前がトゥルシ宮殿として知られるニッコロ・グリマルディ邸。ニッコロ・グリマルディ邸はロッリの中でも最高ランクとされた。
「クレオパトラの死」
赤の宮殿にある、ルキーノの「クレオパトラの死」
「ホロフェルヌスの頭を持つユディット」
赤の宮殿にある、ヴェロネーゼの「ホロフェルヌスの頭を持つユディット」
有田焼
日本の有田焼の他、中国の焼き物などがインテリアとして飾られており、東方趣味の影響を感じられる。江戸時代の作だが持ち込まれたのは1884年。
トゥルシ宮殿
トゥルシ宮殿として知られるニッコロ・グリマルディ邸。ニッコロ・グリマルディ邸はロッリの中でも最高ランクとされた。現在は市庁舎として利用されている。
トゥルシ宮殿
トゥルシ宮殿を建てたニッコロ・グリマルディは王者と呼ばれた銀行家で、スペイン王室も多額の借り入れをしたという。重厚な門をくぐると広がる中庭を囲む優雅な回廊という一連の光景は遠近法を利用した建築の傑作。
カノン
パガニーニが愛用したバイオリン「カノン」
硬貨
新大陸から流れ込む大量の銀から貨幣を鋳造し、その流通をコントロールしてジェノヴァは莫大な利益を上げた。
路地
革新的なストラーダ・ヌオーヴァだが、脇道は中世らしい細く暗い道が伸びる。
王宮
バルビ通りに面するステファノ・バルビ邸。バルビ家の所有したパラッツォの中でも特に規模が大きいもの。このパラッツォはのちの世にサヴォイア王家のものとなりそのまま王宮になった。
鏡の間
王宮の鏡の間は完成間もないヴェルサイユ宮殿を模して作られたという。
玉座
玉座が置かれているのは謁見の間。
王宮中庭のモザイク
18世紀に描かれた中庭のモザイク。
王宮の一室
著名な画家を招き肖像画を描かせることは貴族たちのステータスであった。
アゴスティーニ・G・バルビ邸
バロックの巨匠バルトロメオ・ビアンコによる建築で、張り出したテラスが特徴。
カイローリ通り
バルビ通りからガリバルディ通りにつながる通りがカイローリ通り。
ヴェッキオ港
古くから海上交通の要であったジェノヴァは今でもイタリア第一の貿易港である。ヴェッキオとはイタリア語で「古い」を意味する語で、ヴェッキオ港とは旧港をさすが、現在でも大型客船などが入港する。