民衆を導く自由
日本では「民衆を導く自由の女神」とも呼ばれる作品。作者のドラクロワが描いたフランス国旗を掲げ民衆を導く女性マリアンヌは自由の擬人像であり、女神の姿をあらわしたわけではない。ルーヴル美術館で最も有名な作品の一つ。1830年7月の栄光の3日間のあと数カ月後に完成された作品。山積みにされた建物の梁や石畳のかけらはパリ市民がパリ市内の小路から集めてきたもの。どちらかといえばブルジョワな男性や場末に住んでいたような事情に貧しい職人と思われる男性など、反乱を起こした様々な社会階層が異なる様々な人々が描かれている。足元には2体の死体が描かれている。片方は反乱者で、もう片方は兵士であるが同じように殺されている。マリアンヌと同じような格好をしている少年はヴィクトール・ユゴーのレ・ミゼラブルの主人公のモデルとなった男性であると言われている。ドラクロワはこの作品において、その11年前に描かれたメデューズ号の筏の影響を示している。