概要
サンマリノ歴史地区は13世紀以来、都市国家として独立を貫くサンマリノ共和国にあるティターノ山頂に築かれた首都である。防御に適したティターノ山頂という性質から、産業革命移行の都市化の影響も受けなかった。サンマリノは4世紀にキリスト教徒の石工がローマ帝国の迫害を逃れティターノ山にこもったことが始まり。その中にいたキリスト教徒の聖マリノが国名の由来。世界で5番目に小さい国家であり、現存する最古の共和国と言われるサンマリノには13世紀の防御壁の他、砦などの各時代の建造物が残されており、これらは700年を超える共和制国家としての歴史を証明している。また市民の代表が政治を行う体制は、中世イタリアの都市国家ではヴェネツィア、ジェノヴァ、シエナなど、しばしば見られた例であるが、現在ではイタリアの諸都市国家の消滅とともにサンマリノにのみ残る消滅の危機に瀕する文明である。基本情報
遺産種別/登録基準
文化遺産/(iii)
登録遺産位置
サンマリノ共和国
サンマリノ市
北緯43度55分 東経12度27分
サンマリノ市
北緯43度55分 東経12度27分
登録遺産面積
資産 55ha
緩衝地域 167ha
緩衝地域 167ha
登録年月
2008年
登録基準の具体的内容
(iii)
サンマリノとティターノ山は、13世紀以来、独立した共和国の首都として、他に類を見ない自治政府を基とした代表的民主主義の確立を示す顕著の例である。サンマリノは、過去700年間にわたって存続してきた文化的伝統を今に伝えている。
ギャラリー
プッブリコ宮
サンマリノ共和国の現役の政庁。いわゆる国会議事堂である。オリジナルは14世紀のものであるが、現存するのは19世紀にオリジナルを模して再建された。
議場の入り口
入り口上部のリベルタ（Liberta）はイタリア語で自由を意味する。
議場
壁に大きく描かれているのは国名の由来ともなった聖マリノ。聖マリノの最後の言葉「汝がほかの人々より自由であることを望む」がこの国の礎となっている。
元首の席
元首は議員から選ばれる。同時に2名選ばれ、任期は半年で報酬はなし。このような制度は一人に権力を与え続けないようにするためのもの。
リンカーン像
プッブリコ宮にあるリンカーンの胸像。アメリカ大統領であったリンカーンはサンマリノの名誉市民であった。リンカーンはサンマリノを小国ながらも最も尊敬すべき国の一つであると賞した。
リベルタ広場
プッブリコ宮の前に広がるのがリベルタ広場。
バシリカ聖堂
19世紀に造られたバシリカ聖堂は、当時流行りであった新古典主義の建物。
ロッカ・グアイタ
サンマリノ最古の砦で、第一の砦とも言われる。11世紀以降修復が施されている。
ロッカ・グアイタ
ロッカ・グアイタはかつて刑務所として使われていたこともあった。
ロッカ・グアイタより旧市街
ロッカ・グアイタは標高738メートルの場所に建てられている。
石落とし
ロッカ・グアイタにある石落とし。登ってくる兵士に対して、熱湯や石その他の武器で攻撃した。
チェスタの塔
第二の砦とも言われ、ティターノ山の最も標高の高いところに建設されている。
ロッカ・モンターレ
第三の砦とも言われ、旧市街がら最も離れた箇所に建てられている。13世紀に建てられたが、現在のものは20世紀の再建。
城壁
城壁に作られた穴は狭間。ここから敵兵に向かってクロスボウ（弩）などを用いて攻撃した。