日本ではファミコン版光神話パルテナの鏡以来の続編となった今作、キャラクターは原作のキャラクターデザインからはずいぶん現代的となったスマッシュブラザーズXでの意匠をベースとしており（確かに、現在のマリオもゼルダも原作のデザインからはずいぶんと現代的になってはいるが。）、ゲーム性も大きく異なるため、実質的には完全新作といっても差し支えない。
グラフィックスは良くも悪くも前時代的で、思いのほか3DSらしさは見いだせない。確かに、3DSはハイポリゴンモデルを苦手とする（同一シーンを立体視のために2度描画する必要があるため）ので、今作のような比較的オープンフィールドな作品では、ポリゴン数を向上するのが難しいため、それなりにポリゴンエッジが見られる。主人公のピットについて言えば、明らかにWiiのスマッシュブラザーズのポリゴン数に劣る。
一方で、3DSが得意とするシェーダはどうかといえば、せいぜい疑似HDR程度で、これもPS2やGCでも可能だった表現手法の一つだ。大体の無機物質は同じような反射をするので、マリオランドのような物質感に乏しく、それも画面の古臭さを感じる点の一つだろう。
テクスチャについても、3DSの一部タイトルのように、もはやテクセルが見えない領域に突入しているほどの高画質ではない。開発中の画面では、テクスチャにフィルタがかかっていなかったので、このまま発売されると残念な画質になるぞという思いもあったが、一応製品版ではバイリニア補間程度のフィルタがかけられているように見える。
全体的に見ると、どれひとつとってもずば抜けて高いレベルにあるものがない一方で、全体的に見るとマシンパワーから考えられる各種映像表現の最大公約数をとったような映像表現であり、前時代的表現手法のなかではかなりハイレベルな映像表現であるともいえる。

音楽はおそらくはストリーミングであろう、極めて美しい。音質も高く、音量も適切なので、スペック的な部分では満点と言える。またメロディも概ね美しい。ちなみに、本作では基本的には（スターフォックスのオーソドックスなプレイ場面のような）奥シューティングであるが、キャラクターの進路や速度は自動なので、途中でゲームオーバーにならなければ奥シューティングパートのプレイ時間は決まっているため、ぴったりの長さで作曲されているのも評価が高い。

GUIについては不満はない。しかし、そもそもTPSのようなゲームは右スティックのない3DSには向かないジャンルではあるために、操作方法がかなり無理がある。携帯ゲーム機向けのタイトルながら、携帯してプレイするのにはバランス的に難しく、腰を据えてプレイするスタイルにならざるを得ないのが大きなマイナス要素だ。一応、拡張コントローラとして右スティックが用意されているのだから、拡張パッドを利用した場合には右スティックを照準として使わせて欲しかったところ。
さらに、セーブには根本的に問題がある。本作は面クリア型のゲームだが、その面ひとつひとつが異常に長く（1プレイで30分以上かかる面もザラ）、その割には中断セーブがないなど携帯ゲーム機向けのタイトルとしては言語道断の失態を犯している。
一方で、ほとんどの場面で主人公や、その主人である女神がペラペラとしゃべりまくるので、この手のアドベンチャーゲームでは陥りやすい孤独感が少なく、なにせ主人公がとにかく快活であるため、孤独感を感じることが少なく、この点は大いに、とにかく大いに、評価したい。他の作品では導入しにくいものだが、できる限り他のタイトルでも導入していただきたいくらいだ。

上述のとおり面クリア型のシューティングにもかかわらずひとつひとつの面がとにかく長いのは、ボリュームという点ではプラス要素となっている。本編は全部で20章を超えるが、普通にプレイすれば20時間弱はかかる。さらに、難易度調整や通信プレイ、アイテムコレクションなどやりこみ要素も豊富。

面クリア型なので、どうしてもお使い感がかなり強いが、主人公が自分を探す旅に出るなどという中学生が好きそうな、その方面での王道ストーリーからははずれており、誰からも嫌われにくく、わかりやすいストーリーだ。

3D感は強いし、実際3Dが映える映像表現なのだが、なにぶん主人公が天使で白い（さらに擬似HDRで多少ブルーム効果がある）ため、ステージとの明度差が大きい場面が多いので極めてクロストークが多い。破綻は、奥シューティング面ではもちろん一切でない。TPS面でも気にならないレベルだ。