正直に言うと、どうしてこうなった。
そもそもこの手のゲームはミリ秒単位でのボタン操作が要求されるにも関わらず、フレームレートは安定しない上に明らかに30fpsを大きく割っておそらく15fps程度でしか動作していない。
これではいくら止め絵が高品質でもゲームとして成立しない。しかもこのゲームのタチの悪いところは、そのグラフィック自体大してよくないということだ。ポリゴンモデルもある程度の品質はあるが、ポリゴンエッジが目立たないわけでもなければ、テクスチャも信じられないほど高品質というわけでもない。ではシェーダはどうかといえば、むしろ一切シェーダを使っていないようにすら見える。使っていると断言できる人がいればぜひ連絡してほしい。粗品を差し上げる（嘘）。
挙句の果てには垂直同期(3DSの設計上、どうやら「垂直」同期ではなく実際には「水平」同期だが)がとられていないために画面に鉛直線が入ることがたびたびある。もう、色々と意味不明である。

設定で変更できるとはいえ、デフォルトの音量がおかしい（3DSのスピーカの定格出力に対して大きすぎる）。
酷いのはグラフィックスだけではなくサウンドもまた同様にひどい。基本的にスタジアム内の環境音はストリーミングであり、それにやはりストリーミングである実況・解説と、あとはSEのみである、という風に合成するべき音声はわずかに3種のみであるのに、やたらとノイズがあり、特に気になるのが実況・解説がしばしばプツプツと途切れることだ。ラジオ実況でもここまでひどくはない。普通にプレイするうえで音声が途切れるなどデバッグ以前に気づくはずである。処理が重いがためにそうなってしまっているのであればストリーミングデータのサンプリングレートを下げるなり工夫できるだろうに、それをしないのはまったくもって意味不明である。

プレイ中の実害になるわけではないのでグラフィックス、サウンドまではいかないが、システムも同様にひどい。
まず、CS機にあるまじき動作の鈍さである。ボタンを押してすぐには反応しない。妙にワンテンポほどずれる。セーブ、ロードもそんなに時間がかかるほどデータを保存しているはずはないのにそれらがあると実感できるのはどうしたものか。
そもそも3DSに最適化されていないので、字が解像度不足でつぶれて見えたり、せっかくの2画面をほとんど活用していないという状態である。制作陣は何を考えていたのか、やはり意味不明である。

本編と呼べるものがないのでボリュームは低めである。
やりこみの要素としてはせいぜい選手エディット（スピリッツと呼ばれる）とペナントのみである。

本作にはシナリオは存在しない。

本作で唯一評価できるのは3D表現である。
自然な立体感、カメラワークが制限されていることに起因する3D映像の破綻のなさ、そしてほとんど気づかないクロストーク。
本来であればバッティングシーンにも非常に好影響が期待される要素だ。
しかしいくら3D表現が良くてもフレームレートがありえないレベルでの動作なので、3D表現の良さを完全に台無しにしている。