3DSローンチタイトルなので、多少グラフィックスが研ぎ澄まされていないのは仕方がないが、グラフィックスはお世辞にも良いとは言えない。1年近く後発ながらマリオカート7では3D時でもオンラインプレイ時でも60fpsを達成しているのにもかかわらず、本作ではシングルプレイでも30fps、あろうことか車体の反射はそれよりも低いフレームレートで描かれているので標準の視点、つまり第三者視点では違和感しかない。前世代機であるPSPですらそのようなことはなかったので、劣化を感じる。
その分ポリゴンモデルの精度が向上しているかと言われればそんなこともなく、PSPのレーサーズと同じかそれ以下の精度に見える。
テクスチャもよくなく、車体のみが表示されている選択画面をのぞき、実プレイ時にはかなり解像度が低い。
レースゲームなのでモーションなど無問題でどうにでもなりそうだが、そんなことはなく、しばしば車体（タイヤ部分）が路面にめり込む様子が見られた。コリジョンが荒すぎるのはないかと思われる。
なお、PSP版とちがい、一応シェーダは使っているようだが、それもHDR（おそらく疑似）、モーションブラー、スペキュラ（おそらく疑似）程度で、いずれもSM3.0時代以前に使用されていたもので、前世代であるPSPではスペック上できなかった類の物ではない。もちろんDSではシェーダはハードウェアに搭載されたごく一部のものしか使用できなかったのでそれよりは幾分ましではあるが。

本作でもこれまでのシリーズ同様、基本的にはストリーミング音楽である。MIDIではないので音質はもともとのデータに依存するが、そこまで高音質というわけでもなく、普通である。メロディの良し悪しは個人差があるだろうが、筆者としてはあまり良くないと感じた。
音量は設定で変更できるがデフォルトの音量は大きすぎる。標準音量では3DS本体のスピーカーにもあまり良い影響は与えなさそうである。

GUIは配色の都合上、あまり見やすいとは言えない。メニュー画面の遷移自体はそこまで遅くはないが、かといってサクサク動くほど早くもなく、普通であり、ただしボタンを押下した際のSEからワンテンポほど遅れる感じはある。
操作性も特に操作しやすいように工夫されているとかそういうこともないので、特に感想もない。
セーブはレースゲームということもありオートセーブなので、特に気にすることもないようになっているので、そこは割と良心的。
一方、ロードはダメすぎる。1コースの読込時間がそこそこかかるのは仕方がないにしても、リトライで再ロードするのは意味不明である。オンメモリであるはずのデータをなぜまたROMから読みだすのか理解に苦しむ。
ちなみに、左の評価には含めていないが、敵のAIがあまりにも残念すぎる。敵車は普段自車よりも低速で走りながらもプレイヤにぬかされるとたんありえない速度で追い上げ、意図的に接戦が演出されるという家庭用ゲームというよりはアーケードチックな仕上がりにいらだちを感じる人もいるだろう。

本作では用意されたレースイベントが150存在するので、すべてを総合優勝するには少なからず時間がかかるが、それはどちらかといえば敵車パラメータ変更などに起因するボリュームなのであまり諸手を挙げて評価できるというわけではない。というのも、用意されたそれらのレースイベント以外にはゲーム側からのアプローチは特に何もないからである。

本作では特にシナリオは存在しない。

このゲームはレースゲームなので3Dがわかりやすいタイトルの一つだが、視差の設定がおかしいのか、3D表現がこなれてきた後発のタイトルに比べずいぶん見づらい。3Dが破たんすることはないが、クロストークがいたるところでみられるなど、ゲーム性に影響しないレベルではあるがかなり気になるのは事実だ。