レンダリング解像度が720pであることだけが悔やまれる。しかし、720pにすることでこのグラフィックスも実現されたのだろう、シェーダーリッチであり、テッセレーションは使っていないだろうにも関わらずポリゴンエッジが目立たないレベルのハイポリゴンモデル、特に金属の材質が素晴らしい材質感。ひょっとすると物理ベースレンダリングが実用化されたのかもしれない。Nintendo Landではそのグラフィッククオリティの低さにがっくりと来たものだが、ここへ来て任天堂タイトルもグッと近代化されたと感じる。マリオのキャラクターとはいえクッパなどは鋭いエッジも特徴だが、ジャギーが目立たないレベルでシャドウマップを構築して動的影生成を行っている。材質感については物理ベースレンダリングなのか、アーティストが苦労してスペキュラを調整したのかは分からないが、どちらにしてもピクセルシェーダにとって負荷となる。金属だけでなく、水たまりや少し濡れたような地面も見事に再現されている。もちろん当たり前のようにHDRレンダリングも実装されている。これだけシェーダ負荷が高いにもかかわらず、60fpsのゲームプレイを単純に実現しているだけでなく、ハイポリゴンモデルである上に高解像度テクスチャをふんだんに用いたキャラクターやオブジェクトが、同じく60fpsでリアルタイムにアニメーションするさまはWiiUのスペックを考えても驚愕に値する。

マリオギャラクシーシリーズと同様生音をふんだんに取り入れたBGMは素晴らしいアレンジと美しい生音でゲームを彩る。マリオカートもここまで来たか、と思わず聞き入ってしまう。奏者はPOPSの世界でも活躍する著名なアーティストも数多く参加しており、美しいグラフィックに負けないほど強烈なインパクトを与えている。終わってしまったクラブニンテンドーから近々サウンドトラックCDが届くはずだが、今か今かと首を長くして待ち望んでいる。

風船バトル専用コースが無くなってしまったのは残念だが、それ以外ではゲームバランスも大体適切であるように思う。緑コウラがよく当たるようになったのは良い面と悪い面があるが。ネットワークについては、基本的にはマリオカート7に続きうまく取り入れて、プレイヤー全体のベースアップにつなげている。美麗なリプレイをアップロードできるマリオカートチャンネルは目新しいが、一方であまり実用的ではないかもと感じてしまう。youtubeにもアップロードできるが、ひょっとするとyoutubeにアップロードする動画をエンコードする祭、GPGPUを実用しているのかもしれない。そう思うと少しワクワクするのは筆者だけだろうか？

追加コンテンツを含めると全48コースもあり、これは当然シリーズ最多。タイムアタックにてすべてのコースで基準記録をクリアするだけでも相当のボリュームがあるはずだ。グランプリも200ccが追加され、こちらはシリーズ初。レーシングカートのカスタマイズパーツも数多くあり、こちらはレース中に獲得できるコインによって開放されていくので、全解禁するには相当走りこまなければならない。

このゲームにシナリオは存在しないため評価しない。