鹿苑寺

鹿苑寺が金閣寺と呼ばれる原因になった建造物である。ただしこの建物は金閣寺ではなく金閣であり、正しくは鹿苑寺舎利殿という。1950年に見習い僧侶林承賢により放火され旧国宝の金閣は焼失した。現在の金閣は1955年に明治期の修理の際の図面を元に精巧に復元したものである。この事件をきっかけに国宝にはハイテクな消火設備が設けられたことは有名。

金閣は三層構造となっており、第一層は寝殿造で法水院、第二層は武家住宅風で潮音洞、第三層は唐様禅宗寺院風で究竟頂となっている。第一層のみ金箔が貼られていないのは舎利殿の第二層と三層の二層からなる金閣が鏡湖池から浮いているように見せるためともいわれる。鹿苑寺では、境内4万坪のうち、2万8千坪が特別史跡及び特別名勝に指定されている。金閣の目前に広がる鏡湖池もそのひとつであり、この池には大小さまざまな島が配置されているがこれは日本国をかたどったものだといわれている。

旧国宝の金閣は放火によって焼失したが、鳳凰像のみ取り外されていたので火災を免れた。現在の金閣に取り付けられているものは昭和62年の修理の際に装いを新たにしたものであり、避雷針になっているようだ。初代の鳳凰像は創建時の鹿苑寺の唯一の遺品として保管されている。

鹿苑寺の名物の一つとなっている。帆掛け舟の形に仕立てられ西を向いているのはこの舟に乗り西方浄土に向かうという意味を込められているとされる。この松は足利義満の盆栽から移植したものといわれるが真偽は不明。奥の建物は方丈であり、鹿苑寺の本堂にあたる。

日照が続いても涸れないことから雨乞いの場ともされた。白蛇塚という多層石塔が建ち、西園寺家の鎮守とも伝えられ、同家当時の遺跡をとどめているといわれる。

鹿苑寺の山上にある茶室。1624年に住職となり本格的な庭園の修復を行った鳳林承章が江戸時代の茶道家である金森宗和に作らせたもの。明治7年再建。

本尊は弘法大師作と伝えられる石不動明王で、秘仏として信仰されている。