概要
古都京都の文化財の一部として登録されている天龍寺は、1225年に造営された離宮を足利尊氏が後醍醐天皇供養のために1339年に建立し、室町時代に京都五山の第1位となる五山禅宗寺院である。夢窓疎石がつくった池泉回遊式の庭園は創建当時の面影を残しており、借景庭園の原型。曹源池の中には中国の伝説をかたどった石組みや岩島が造られている。基本情報
遺産種別
文化遺産/古都京都の文化財
登録遺産位置
京都府京都市右京区
北緯35度0分 東経135度40分
北緯35度0分 東経135度40分
登録遺産面積
資産 3.0ha
緩衝地域 167.0ha
緩衝地域 167.0ha
ギャラリー
庫裏
左側にある石組みは蓬莱山の石組み。蓬莱山は蓬莱島とも呼ばれ、中区の遥か彼方海中にあり仙人が住むとされた想像上の島。不老不死の薬があるとされた。
多宝殿
小方丈から長い廻廊でつながった奥に立地する。後醍醐天皇像を安置する。昭和9年に竣工したもので、寝殿造風の装飾もみられるが伝統的な寺社建築の造りとは異にする部分も見受けられる。全体には中世鎌倉時代の様式を模倣したものとなっている。春季には前庭に枝垂桜が満開となる。
石庭
有名な龍安寺石庭とは異なり、広いスペースがとられているのが特徴。これは、古来の仏教における庭が鑑賞を目的としたものではなく、仏教儀式のための広場として設けられていたため。
大方丈
方丈は禅院における主要伽藍として、大寺院には大小2つあった。天龍寺の場合も大小の二つがあるが、創建以降度重なる火災により焼亡した。現在の大方丈は1899年（明治32年）の再建。
大方丈襖絵
若狭物外の筆とされる。
小方丈
天龍寺の2つの方丈のうち、もう一方。こちらも焼亡しており、1924年（大正13年）の再建。大方丈・小方丈ともに特別名勝天龍寺庭園曹源池を鑑賞するのに好所となっている。
曹源池
夢窓疎石の発意に基づき作庭されたもので、蓬莱島、龍門の滝の石組みが組まれている。方丈からの眺めを意識した造りとなっている。
平和観音
平和観音。
雲龍図左
雲龍図の左側。明治時代の画家鈴木松年の筆になる雲龍図が法堂天井に描かれていた。禅宗寺院の多くで水神として龍が描かれる理由は法堂に火難除けの龍神を描くことで伽藍全体の火災を防ぐ意味があるといわれる。
雲龍図右
雲龍図の右側。
雲龍図
現在の法堂には、現代日本画の巨匠加山又造の筆による雲龍図が描かれている。