概要
古都京都の文化財の一部として登録されている教王護国寺は、羅城門をはさんで東西にあった官寺の一である。元は東寺といい、羅城門の西側にある西寺と並び平安京の国家鎮護の寺であった。なお、西寺は右京そのものの衰退とともに衰退し、現在は公園内にそれがあったことを示す石碑が残るのみである。この東寺は桓武帝の皇子である嵯峨天皇の御代に日本真言密教の祖師である空海に下賜され、すでに真言宗の総本山であった高野山金剛峰寺とともに真言宗の総本山となった。また空海により教王護国寺と名づけられた。基本情報
遺産種別
文化遺産/古都京都の文化財
登録遺産位置
京都府京都市南区
北緯34度58分 東経135度44分
北緯34度58分 東経135度44分
登録遺産面積
資産 8.5ha
緩衝地域 22.8ha
緩衝地域 22.8ha
ギャラリー
南大門
元の南大門は明治元年に消失した。現在のものは三十三間堂の西門を移築したものである。
金堂
東寺の本堂であり、現在の建物は天竺様と和様を折衷した、桃山時代の代表的建築物である。現在の金堂は1486年の土一揆で消失した跡、1603年に豊臣火でよりによって再建されたもの。金堂内陣には、須弥壇上に薬師三尊像が安置されている。
五重塔
東寺のというよりもむしろ京都のシンボルとして知られているこの五重塔は日本で最大規模の塔である。基壇上部から相輪頂部まで、高さは55メートルあり、現存するものでは日本で最も高い塔となっている。現在の五重塔は江戸時代に立てられたもので五代目。五重塔内陣には、心柱を大日如来に見立て須弥壇上の四方に金剛界四仏と脇侍を配する。四天柱には両界曼荼羅の尊像、四方の壁面には真言八祖像が描かれ、全体的に密教の教義に基づいている。
講堂
講堂は空海によって造営が着手され835年までに完成した。金堂とともに消失した後、1491年に再興が始まった。再興後、伏見大地震により倒壊するが、修復され現在に至る。
密教空間
上と同じく講堂。講堂内陣には、長大な基壇の上に、大日如来を中心とした五智如代など二十一体の仏像が安置されている。空海自身の構成による密教空間であり、立体曼荼羅とも呼ばれている。
食堂
オリジナルの建物は843年までに完成した。昭和5年に火の不始末により消失し、現在の建物は昭和8年竣工のもの。現在の食堂の本尊は十一面観音。
御影堂
かつては空海の住房があったと伝えれる。南面には大師の念持仏である国宝の不動明王像が秘仏として祀られ、北面には国宝弘法大師像が安置されている。毎月21日の命日に御影供（みえく）とよばれる法会がおこなわれる。
鐘楼
鐘楼。
庭園
境内南東にある庭園。もともと東寺には庭園はなく、この庭園は昭和になってから小川治兵衛によってつくられたもの。
不二桜
2006年に移植されたこのシダレザクラはもともとは盛岡市内の旧家に生えていたもの。空海の帰朝1200年に合わせ、信徒総代が寄贈した。