東大寺

東大寺南大門。日本の古建築様式「和様唐様天竺様」の天竺様の代表的建築の一つ。現在では大仏様と呼ばれる。外観二層の建築であるが、内部は柱が上まで通る一層である。

南大門の金剛力士像「阿形」。わが国最大の国家寺院である東大寺の守護神にふさわしく、像高8mを超える巨像。鎌倉期における南都復興を象徴する記念的大作として知られる。

南大門の金剛力士像「吽形」。阿吽二体とも筋骨の隆起した逞しい力士の相で、それぞれ力感のこもった身のこなしを見せ、激しい威嚇的姿勢で仁王立ちしている。鎌倉彫刻の完成された作技と充実した表現とを如実に示したもので、当代彫刻の雄作。

東大寺中門。天竺様の南大門とは違い、和様建築である。

中門の二天像「兜跋毘沙門天像」。

中門の二天像「持国天像」。

大仏殿として知られるこの建物は東大寺金堂。世界最大級の木造建築として知られる。なお床面積では京都の東本願寺の大師堂が遥かに大きい。桃山時代には京都において東大寺より巨大な「京の大仏殿」が完成したが、惜しくも落雷で焼亡した。現在の金堂は1709年に再建された3代目。

金堂の規模は正面57.5m、奥行き50.5m、棟までの高さ49.1m。一重、裳階付、寄棟造の建造物で、奥行きと高さは創建当初とほぼ同じながら、幅は創建当初のほぼ3分の2となっている。これは元禄の復興の際には大材が意の如く寄せられなかったためである。

金堂正面前方にすえられる八角宝形造の鋳銅製大燈籠。完成期は不明だが、751年の「写経所紙借用状」に「造燈炉量」としるされているものがこの燈籠に該当すると考えられるため、752年の開眼供養にあわせて造立されたと想定される。

大仏殿正面のこの扉は、8月15日の大仏殿万燈供養や大晦日に開かれ、中門からも大仏の顔を拝むことが出来る。

奈良の大仏でお馴染みのこの仏像は正式名称を「盧舎那仏坐像」という。天井の大きい格子は4畳半ほどの広さがある。

金堂の北西隅に位置し、四天王のうち西方を守る神で、筆と経巻をもつ。

金堂の東北隅に位置し、北方を守る四天王で、左手に矛を持ち、右手で仏塔を捧げている。

知恵を授ける仏として信仰されている。

大仏に向かって右側の柱にはこのような穴が開いている。この穴は大仏の鼻の穴と同じ大きさといわれ、くぐれば幸せになれるとされる。

現在の大仏殿よりも更に大きく、幅は11間（約86m）もあった。

片側に4本の足がある蝶。突然変異によってショウジョウバエに4枚の羽が生える謎を追っていたスイスのゲーリング博士は、この8本足の蝶から生物の体のパターンを決定するホメオボックス遺伝子の存在を発見した。

蓮の花をかたどる大仏の台座「蓮弁」。「三千大世界」という宇宙の様子を表した絵が線彫りされている。平安時代と戦国時代の2度、大仏は燃え、昔のまま残るのはこの蓮弁と胴体の一部分のみ。

ログハウスのような構造になっているこの建物は大仏開眼の際に使われた品や聖武天皇の遺品、シルクロードを通って運ばれた西アジアの品物などが納められている。

三月堂の名で有名なこの建物は正式名を法華堂という。内部の多数の仏像を含めて、三月堂の名は非常に有名。もとは寄棟造の正堂と礼堂が軒を接して建っていたが鎌倉時代に礼堂を入母屋造に改築して2棟をつないだ。現在、内部は土間であるが建立当初は床が貼られていた。

755年、日本初の正式な授戒の場として戒壇院が建立された。江戸時代までに3度火災で焼失した後戒壇堂と千手堂だけが復興された。

相輪。

26.364トンもの鐘をつるすための構造上の配慮と宋様式が特徴。

本尊は大小2体の十一面観音で絶対秘仏とされ、誰一人実際の姿を見たものは居ないとされる。

有名な「お水取り」は旧暦の2月に行われたことから正式には「修二会」といい、現在は3月1日から14日まで行われている。本来の「お水取り」とは3月12日深夜に行われ、二月堂の下の閼伽井屋から本尊に供える聖なる水をくみ上げることだったが、今では修二会全体を指す言葉として使われる。修二会とは本尊に祈りを捧げる修行。「懺悔（さんげ）」と呼ばれる悔い改めの行が祈りの基本となっている。その他、聖武天皇から始まる天皇や災害・戦争で亡くなった人々も供養する。1260年以上一度たりとも途切れること無く行われてきた修行。

修二会において堂内に篭る11人の僧は練行衆とよばれる。3月1日の夕方にここで修行の無事を祈る。