東照宮　Toshogu

概要

一般に日光東照宮の名前で知られる東照宮は、日光の社寺を構成する社寺の一つとして世界遺産に登録されている。東照宮は、1616年に病に倒れた徳川家康の遺言、「遺体は久能山に葬り、1周忌の後、日光山に祀るべし」に基づいて1617年に建立された東照社を前身とする。神として祀られた家康の名は、天皇の祖先天照大御神に対して東に照り輝く神、東照大権現となり、この名が東照宮の由来である。東照宮の主要な社殿は三代将軍家光によって1636年に造営された。東照宮の建築により権現造様式や彫刻、彩色といった建築装飾の技法が完成した。主祭神は徳川家康であるが、かつてこの地を信仰し江戸幕府まで続く武家政権の礎を築いた源頼朝、さらに豊臣秀吉も合祀している。

基本情報

遺産種別

文化遺産/日光の社寺

登録遺産位置

栃木県日光市
北緯36度44分　東経139度36分

登録遺産面積

資産　50.8ha
緩衝地域　373.2ha

ギャラリー

石鳥居は江戸時代の石造りの鳥居としては日本最大級のもの。京都の八坂神社、かまくらの鶴岡八幡宮のものとともに日本三大石鳥居とされる。

五重塔は徳川家康33回御神忌に小浜藩主酒井忠勝が奉納。ただし1815年に焼失し、現在のものは忠勝の子孫忠進により再建されたもの。

この白木の厩に施された彫刻は見猿言わ猿聞か猿として知られる。猿は馬の守り神とされた。

子は母に慈しまれ育つ。小手をかざして遠くを見ている母猿は、空間としての遠方ではなく時間としての遠方を見ている。猿の一生を表す一連の彫刻はここから右方へ展開される。

見猿言わ猿聞か猿

幼い内は純真で周囲の影響を受けやすい。世の中の悪いことは見聞きせず、悪い言葉も使わせず、良い物だけを与えよという意味。この時期に良い物を身につけておけば悪いものに触れても正しい判断が出来る。

仔猿も育ち、親から離れて行動する。孤独に耐えつつも将来を考えている。

二匹の猿が上方を見上げているのは希望を持って上を見上げる青年期。

右側の猿は前方を凝視。左側の二匹は岩の上にいる。将来について思案している様か、複数の解釈がある。

左側、恋に落ちた猿。結婚を決心したか、あるいは告白するタイミングを思案している猿。中央、結ばれた猿。左下に渦巻く波は、二人で力を合わせれば人生の荒波も乗り越えられることを示す。右側、荒波を乗り越え、平安な家庭環境を整え子宝に恵まれた様子。仔猿が生まれれば、最初の面に戻り永遠の命が受け継がれていくことを示す。

上神庫は祭典用具や神宝類を収蔵する校倉造りの建造物。妻面には神域の守護獣として想像の象が描かれる。東照宮の建造物を飾る夥しい数の彫刻は総数で五千を超える。装飾の指揮には江戸時代を代表する幕府御用絵師である狩野探幽が当たり、これらの彫刻は狩野派一門による立体絵画といえる。

中国風のモチーフがあふれている陽明門。一日中見ていても飽きないことから日暮門とも呼ばれる。彫刻の数は五百を越え、一つの建造物にこの数の彫刻を施したものは世界でもほとんど例を見ない。陽明門の中心には中国風の子供たちを表した小さな彫刻があり、唐子遊びとして知られる。なお、この陽明門は平成25年より6年間の修理工事のため2015年現在、姿を見ることが出来ない。

仙人の彫刻

陽明門上層部にある仙人の彫刻は、この地が仙境であることを示す。

龍馬の彫刻

陽明門北面上層部には龍馬の彫刻が施されている（中央段の白い彫刻）。龍馬は龍に似ているがひげが無いのが特徴。龍馬は東照宮ではこの陽明門にのみ施されている。

陽明門の柱12本の内11本に施された模様はこの写真のようになっている。

北西側に建つ一本だけが上下逆の模様となっており、これは魔除けのためとされる。この柱を逆柱という。

回廊にもこのような精巧な彫刻が施されている。

陽明門より先は神の領域とされる。唐門は貝殻を砕いた胡粉という顔料で白く塗られる。中国風の花鳥の彫刻が施され、竹林の七賢人など中国の故事を題材にした彫刻が描き出されている。

徳川家康の墓所である奥宮への通路上にある彫刻、眠り猫。この彫刻の裏には雀の彫刻が有り、猫が雀を襲わず眠る姿は平和な時代を象徴しているとされる。名工として知られる左甚五郎の作と伝えられる。

奥宮は主祭神、徳川家康の墓所。本社より東回廊を進んだ先にある。鶴と亀の燭台は朝鮮からの奉納品。

参考文献

世界遺産検定公式ガイド2009 / 世界遺産シリーズ　日本の世界遺産　―東日本編― / 週刊世界遺産　No.36　日光の社寺と日本東部の遺産 / TBS　世界遺産 / 日本の世界遺産(JTBのムック) / UNESCO公式ホームページ / 日光東照宮公式ホームページ

Joint photographer: Three-stick-long