概要
琉球王国のグスク及び関連遺産群の一部として登録されている識名園は、琉球王家最大の別邸庭園である。中国の使節団を歓待する場として、1799年に尚円王によって造影された。その他、国王一家の保養、避暑などにも利用された。広い心字池を中心に、六角堂、石造りのアーチ橋、灯籠、中島などがある回遊式庭園。池の周囲に御殿などを配置している。ここも第二次世界大戦末期の沖縄戦によって完全に破壊され、現在見られるものは1975年から約20年かけて修復された。首里城の南に位置することから、別名「南苑」、賊に「シチナウドゥン（識名の御殿）」とも呼ばれている。基本情報
遺産種別
文化遺産/琉球王国のグスク及び関連遺産群
登録遺産位置
沖縄県那覇市
北緯26度12分 東経127度40分
北緯26度12分 東経127度40分
登録遺産面積
資産 4.2ha
緩衝地域 84.2ha
緩衝地域 84.2ha
ギャラリー
正門
国王一家や冊封使などが出入りするのに使われた。王府時代の格式を踏襲した門である。
通用門
正門、通用門ともにヤージョウ（屋門）と呼ばれる屋根のついた形式であるが、通用門は正門に比べるとやや小ぶりに作られている。園内で働く者が出入りする門。
御殿
御殿は、当時の王国の上流階級だけに許された赤瓦屋根の木造建築。軒などに琉球地方独特の民家風の趣を取り入れている。
御殿内装
池に近い建物から、一番座、二番座、三番座となっている。
台所
大きなまな板が置かれ、土間には大小6つの焚口が設置されている。この部屋には天井がなく、煮炊きに伴う煙が天井裏へ広がる工夫がなされている。
鉄片
この鉄片は識名園で拾われたもの。1945年4月30日頃、アメリカ軍の艦砲は早朝から識名園を目標にした。この際の砲弾の破片ではないかと思われている。
庭園
識名園は琉球王国が薩摩の支配下にあった時代に造営された。そのため、日本風の回遊式庭園となっている。一方で、中国情緒あふれる石橋も配置されている。
六角堂
池に浮かぶ島に作られた六角形の東屋である六角堂。屋根の形や黒く色付けされた瓦から中国的な建築であることを伺わせる。ただし、この六角堂が建築されたのは琉球王国時代ではなく、大正5年以降である。明治時代までは一般的な四角の入母屋造りの建物であったことが資料から判明している。
育徳泉
池の水源の一つにもなっている育徳泉。沖縄独特の石積みである相方積みを用いて造られている。
滝口
かつてはあふれた池の水が石造りの掛樋から勢い良く落ちていた。
舟揚場
かつて池に浮かべる舟をを揚げる場所として造られた。
番屋
普段はここに番人が詰めていた。
バナナ園跡
かつてここにバナナ園があった。